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米中露韓への日本人の親近感はどのような状況なのか(2024年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
日本人が諸外国に持つ親近感、その内情は(提供:イメージマート)

日本と深い関係のある国々に、日本人自身はどの程度の親近感を持っているのか。内閣府の外交に関する世論調査(※)から、属性別の現状を確認していく。

今調査の該当項目では諸外国、あるいは地域毎に親しみを抱いているか否かに関して、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の4選択肢を提示、その中から自分の心境にもっとも近いもの一つを選んでもらうことで、該当国への親近感を推し量っている。

そこでそのうち「親しみを感じる(強)」「どちらかというと親しみを感じる(弱)」の動向を、主要国として今回抽出したアメリカ合衆国、中国、ロシア、韓国について、男女別と年齢階層別に計算しグラフ化したのが次の図。4か国のグラフにおいて縦軸の区分はすべて統一してあるため、個々の国に対し持っている親近感の度合いが容易に比較できるようになっている。

↑ アメリカ合衆国に親近感を持つ人(2023年)
↑ アメリカ合衆国に親近感を持つ人(2023年)

↑ 中国に親近感を持つ人(2023年)
↑ 中国に親近感を持つ人(2023年)

↑ ロシアに親近感を持つ人(2023年)
↑ ロシアに親近感を持つ人(2023年)

↑ 韓国に親近感を持つ人(2023年)
↑ 韓国に親近感を持つ人(2023年)

アメリカ合衆国に親近感を持つ人は属性でさほど違いは無いが、女性よりは男性の方が強度の親しみを覚えているのが確認できる。年齢階層別では40代を底として、若年層と高齢層では強い親近感が生じている。強弱合わせた親近感の合計値が一番低い属性は18-29歳。

中国では男女別では男性の方が親近感の合計は高く、年齢階層別ではおおよそ若年層ほど高い値が出る傾向がある(70歳以上でやや高めな値が出ているが)。

全体値で最低値を示したロシアでは30代でやや高めな値だが、正直なところ誤差の範囲での差異とも解釈できる。18~29歳と30代では強い親近感がゼロ。ここまで低い値となってしまっているのは、ひとえにロシアによるウクライナへの侵略戦争が影響しているのだろう。

韓国では男女別では女性、年齢階層別では18~29歳を筆頭に若年層の親近感が高い。若年層が高めに出るのは他国でも見受けられるが、強度の親近感が18~29歳において突出する形で高い値を示しているのは、数年前までブームだった「韓流」「K-POP」などの影響が、まだこれらの層に残っていることがうかがえる。あるいは現状でもまだブームの類が数字として出ているのかもしれない。

強弱を問わずに親近感を持つ層を合算し、それぞれの国の属性別動向をまとめたのが次のグラフ。

↑ 対象国に親しみを持つ人(強弱合計)(2023年)
↑ 対象国に親しみを持つ人(強弱合計)(2023年)

アメリカ合衆国の安定した高さ、韓国の特異性(女性や若年層における親近感の突出した高さ)などが改めて確認できる。あくまでも総合的な評価として親近感を覚えるか否かではあるが、日本の対外施策や社会的事案の検証の際に、指標の一つとなる動向には違いない。

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【中国・習主席の外交は大よそ否定的、アフリカなど一部諸国では高く評価】

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※外交に関する世論調査

今調査は2023年9月7日から10月15日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、郵送法によって行われたもので、有効回答数は1732人。男女比は48.3%対51.7%、年齢階層別構成比は18-19歳1.1%・20代7.5%・30代11.6%・40代16.0%・50代17.6%・60代18.0%・70歳以上28.2%。

調査方法について2019年調査までは調査員による個別面接聴取法が用いられていたが、2020年調査以降では新型コロナウイルスの流行により、郵送法が用いられている。調査方法の変更で一部設問の選択肢や回答傾向に違いが生じていることに注意が必要となる(「分からない」が「無回答」になっている、回答の意思が明確化されたために一部設問で「無回答」の値が以前の調査と比べて有意に少なくなっているなど)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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