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シニアが若年層を知る手段と、若年層が自分の姿を正しく伝えていると考える手段と(2022年版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
シニアはテレビ視聴の時間が長いことで知られているが(写真:イメージマート)

自分とは異なる世代の人の実情を知るのには、色々な手段を用いることができる。しかし手段の選択を誤ると、間違った認識をしてしまうかもしれない。シニアは若年層を知るためにどのような手段を用いているのか、そして若年層自身はどの手段が自分の姿を正しく伝えていると考えているのか。大和ネクスト銀行が2022年1月に発表した「『シニアが考える若年層イメージ』と『若年層の実態』に関する調査2022」(※)の内容から、その実情を確認する。

次に示すのはシニアが若年層を知るきっかけとして用いているものを複数回答で答えてもらったもの。トップは「テレビのニュース」で66.4%となった。

↑ シニアが若年層について知るきっかけとなっているもの(複数回答、上位陣)(2021年)
↑ シニアが若年層について知るきっかけとなっているもの(複数回答、上位陣)(2021年)

情報番組やバラエティ番組ではなく、ニュースであることに注意が必要となる。つまり、おおよそは事件性のある事案報道を見て、若年層の実情を知っていることになる。中にはポジティブなニュースもあるだろうが、ニュースは多分にネガティブな内容のもの。若年層への印象もあまりよくないものになってしまうかもしれない。

次いで「テレビの情報番組」が49.2%、1つ飛んで「テレビのバラエティ番組」が29.4%。シニアは若年層について知る時に、テレビからの情報を大いに利用していると見てよいだろう。

インターネット関連の手段は「ネットの記事・ニュース」がもっとも値が高いものの、31.8%、次いで「動画サイト」の14.0%にとどまっている。

当事者である「20代の知人」は12.6%、「20代の家族」は10.4%でしかない。もっともこれらは実際にシニア当人の身の回りにいなければ聞くこともできないので、その機会に恵まれている人そのものが少ないのかもしれない。

一方で若年層自身が自分の姿を正しく伝えていると考えている手段は次の通り。トップは「SNS(ソーシャルメディア)」の40.4%。

↑ 若年層の姿を正しく伝えていると若年層自身が思うもの(複数回答、上位陣)(2021年)
↑ 若年層の姿を正しく伝えていると若年層自身が思うもの(複数回答、上位陣)(2021年)

次いで「動画サイト」の29.2%。インターネット関連の手段が上位を占め、その次にようやく「テレビのニュース」が19.0%で入ってくる。テレビ関連はその他に「テレビの情報番組」10.2%、「テレビのバラエティ番組」8.4%とあるが、シニアの回答ほどの値ではない。「ネットの記事・ニュース」が8.6%で第5位に入っていることもあわせ、若年層の姿を正しく伝えていると若年層自身が思う手段は、メインがインターネット関連、そしてテレビが続くと読めばよいだろうか。

シニアと若年層の回答を比較すると、テレビからの情報を手段として重きを置いているのは変わらないが、インターネット関連の手段に対する見方に大きな違いが生じている。シニアはインターネット関連の手段をあまり重要視していないが、若年層はテレビ以上に自分の姿を正しく伝えていると考えている。インターネット関連の手段を用いているシニアが少ないことが、シニアの考える若年層の姿と、若年層の実態との間にギャップを生み出しているのかもしれない。

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※「シニアが考える若年層イメージ」と「若年層の実態」に関する調査2022

2021年12月3日から5日にかけて20~29歳の男女(学生除く、若年層)と60~79歳の男女(シニア層)に対しインターネット経由で行われたもの。有効回答数は若年層、シニアそれぞれで500件ずつで、個々の層における男女比は1対1。調査協力会社はネットエイジア。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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