主な音楽を聴く機会はYouTubeが最上位(2021年公開版)

↑ 音楽を聴く機会はどこにでもあるものだが。(写真:Paylessimages/イメージマート)

さまざまな音が紡がれて完成する「音楽」を耳にする機会はどこにでも存在する。それでは音楽を能動的に聴く手段はどのような認識をされているのだろうか。どの手段がもっともよく使われているのだろうか。日本レコード協会が2021年4月に発表した「音楽メディアユーザー実態調査」(※)の最新版の結果を基に、その実状を確認する。

次に示すのは調査対象母集団において主な音楽の聴取手段とされるルート。冒頭で触れた通り日々の生活の中では音楽と接触する場面、機会は多々あるが、今件は回答者が能動的に「音楽を聴きたい」との意志の下で利用する手段であり、無意識のうちに耳に入ってくる機会とは別。例えばテーマソングを聴くために商店街に足を運ぶ人はいないが、音楽が聴きたいためにカーラジオのスイッチを入れる人はいる。

なお「コンサート・ライブなどの生演奏」における「(単数)」「(複数)」とはアーティスト数を意味する。また2020年分の調査で初めて登場した選択肢は整数値までの公開のため、グラフ上の表記はすべて少数第一位がゼロとなっている(短編動画投稿アプリ、Spotifyフリープラン・LINE MUSICフリープラン、定額制動画配信サービス、無料配信型ライブ、有料配信型ライブが該当)。

↑ 音楽聴取手段(複数回答)(2020年)
↑ 音楽聴取手段(複数回答)(2020年)

最上位はYouTube。6割近くの人が「音楽を聴きたい時にはYouTubeを使う」と答えている。本来は動画共有のサービスサイトではあるが、今や音楽の取得場としても幅広い認識を集めている。実際、新曲のプロモーションの場としてもYouTubeは大いにその効用を発揮している。

次いで多くの人が挙げているのは音楽CD。これは直接購入したもの以外にレンタルCD、他人から借り受けたものも含む。似たような回答に音楽CDからコピーした楽曲ファイルが第4位に入っているが、これは聴きたい対象の曲は同じで、聴くメディアが異なるだけの話。実質的に機動性に高いスマートフォンや携帯音楽再生プレイヤーで聴くためだけに、音楽CDを購入し、データ化したらCDそのものはお蔵入りとの使い方をする人も少なくあるまい。

YouTube以外の無料動画配信サイトは23.3%、AmazonPrimeMusicは17.0%、定額制有料音楽配信は16.4%、無料音楽配信アプリなどは8.8%。これらのサービスで音楽を聴取する人は確実に存在する。しかし同時に、その程度でしかないのも事実。

リアルな体験も楽しめるとの観点で注目を集めているコンサートやライブは、単数が6.4%、複数が2.9%。複数対象よりは、お目当てのアーティストにターゲットを絞り、足を運ぶ人が多いようだ。もっとも今回調査年は新型コロナウイルス流行の影響でコンサートそのものが軒並み中止となっている実情から、回答値そのものはそれほど高くない。

前年に実施された同様調査の結果との差異を算出したのが次のグラフ。上位陣のみを取り上げている。また2020年分の調査で初めて登場した選択肢は(前年比が無いため)除外している。

↑ 音楽聴取手段(複数回答、前年比、ppt)(2020年)
↑ 音楽聴取手段(複数回答、前年比、ppt)(2020年)

AmazonPrimeMusicやYouTube、テレビ、無料動画配信サイト(YouTube、ニコ動以外)、インターネットラジオが大きく増え、コンサート・ライブなどの生演奏(単数)、カラオケBOX・カラオケ教室などが大きく減っている。新型コロナウイルス流行による社会環境の大きな変化が音楽聴取手段の変化にも表れた感は強い。特にカラオケBOXやコンサートの類は、利用したくてもできないことも多々あっただろう。

また2020年分から選択肢として加わった短編動画投稿アプリ、Spotifyフリープラン・LINE MUSICフリープラン、定額制動画配信サービス、無料配信型ライブ、有料配信型ライブは当然このグラフには顔を見せていないが、高い値を示している手段は多分に、新型コロナウイルスの流行による社会環境の変化が後押しする結果となっていることも否定できない。特に配信型ライブは新型コロナウイルスの流行が無くとも登場、さらには音楽提供の一手段として普及するようになっただろうが、通常のライブの代替手段として注目されたことが、多くの人に利用されるきっかけとなったことは間違いない。

今件調査がインターネット経由であるのも一因だが、「音楽を聴く」との認識で使っている手段として、すでに物理メディアがデジタルサービスに抜かれている現状は、興味深い話に違いない。また、体験型音楽聴取手段とも表現できるコンサートやライブなどの生演奏が、少なからぬ人にとって「主な音楽の聴取手段」と認識されている点にも、大いに注目すべきだろう。

■関連記事:

【主要国の携帯・スマホでの音楽を聴くスタイルをグラフ化してみる(ICMR2013版)】

【CDの方が売れているのは日本以外はドイツとフランス、オーストリアぐらい…主要国の音楽売上状況を探る】

※音楽メディアユーザー実態調査

直近分は2020年12月に12歳から69歳の男女に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は3343人。男女別・年齢階層・地域別(都市部とそれ以外でさらに等分)でほぼ均等割り当ての上、2015年度の国勢調査結果をもとにウェイトバックを実施している。また設問の多くは過去半年間を対象に答えてもらっているため、2020年7月から12月時の動向が反映されていることになる。過去の年の調査もほぼ同じ条件で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。