大学卒業者就職率は過去最高

厚生労働省・文部科学省が本日発表した2019年度における大学などの卒業予定者の就職状況報告書「令和元年度大学等卒業者の就職状況」によれば、2020年4月1日時点の大学卒業者の就職率(就職希望者に対する就職者の割合)は98.0%となり、昨年同時期と比べ0.4%ポイントの増加(改善)が見られたことが明らかになった。これはデータが取得可能な1996年3月卒業者における記録の中では、2018年3月卒業者が2018年4月1日時点で示した98.0%と同じ、過去最高の値となる。

公表された調査結果によると、2020年4月1日時点で大学生の新卒者による就職率は98.0%となり、前年同時期の97.6%と比べて0.4%ポイントのプラスとなった。つまりそれだけ同じ時期における就職内定状況が改善したことになる。

↑ 大学など卒業者の就職率(2020年4月1日時点と2019年同時期)
↑ 大学など卒業者の就職率(2020年4月1日時点と2019年同時期)

今回発表された4月1日時点における就職率は労働市場や景況感を反映する形で、高水準な値が出ている。全体の98.0%は同じ時期の調査を始めた・公開値としてデータが取得可能な1996年3月卒業者分以降、2018年4月1日時点で示した98.0%と同じで、もっとも高い値となる。

↑ 就職率(大学・全体)(各年4月1日時点)
↑ 就職率(大学・全体)(各年4月1日時点)

高等専門学校は専門技術に特化し、企業側もその技術を頼りに求人を行うため、内定を出しやすい、囲い込みやすいのが、高就職(内定)率の主要因。企業側の「即戦力優遇主義」が多分に反映され、他の学校種類と比べて高い就職(内定)率が出る。今回もその実情が反映された結果が出ている。

国公立と私立大学、男女別で確認すると

今回発表された就職率のうち大学(国公立・私立の合計、個別)にスポットライトを当て、男女別にその動向を確認したのが次のグラフ。

↑ 国公立・私立大の男女別就職率(2020年4月1日時点と2019年同時期)
↑ 国公立・私立大の男女別就職率(2020年4月1日時点と2019年同時期)

今グラフで対象とした区分において前年同時期比では、国公立大は男女ともにプラス、私立大は男性がマイナス・女性はプラス、大学全体としては男女ともにプラスを示している。男性において国公立大がプラスで私立大がマイナスの状況は、現時点においては企業側の選別が厳しくなったと解釈すればよいのだろうか。

中期的な就職(内定)率推移から就職戦線の実情を確認

厚生労働省が定期的に発表している今件就職(内定)率において、過去のデータを逐次抽出し、(金融危機ぼっ発直前からの動向を推し量るため)過去15年間における動向をグラフ化したのが次の図。リーマンショック後は下げ続け、2011年3月卒分を底とし、それ以降は少しずつ回復基調にある状況が容易に把握できる。それゆえに、2015年における解禁日の大幅後ろ倒しに伴い就活学生側に混乱が生じ、(その2年前の同時期の値64.3%と比べればまだ上だが、)内定率の改善状況が一時的に足踏み状態となってしまったのは残念でならない。

↑ 就職(内定)率(大学・全体)(2020年4月1日まで)
↑ 就職(内定)率(大学・全体)(2020年4月1日まで)

今回対象となった4月1日時点の結果は2015年3月卒(4月1日時点)の96.7%以降、95.0%を超えたままの値が維持されており、天井に近い状態にある(ほんのわずかずつだが上昇しているものの、誤差の範囲とも解釈できるレベルのもの)。恐らくは2018年3月卒と今回発表分の2020年3月卒が出した98.0%が事実上の上限なのだろう。

大学生などの就職(内定)率は、その時の経済状態や企業の景気判断、とりわけその時点の景況感ではなく、今後の見通し的なものと深い関係にある。現在景気がよくても、今後の見通しに不安があれば、わざわざ人材を増やしてリスクを底上げする酔狂さを持つ企業はさほど多くない。逆に企業の先行きが明るければ、それを見越して事業拡大を図るため、人材の追加確保に勤しむことになる。

つまり学生諸子の就職率を底上げし、安定化させるには、(非常に大雑把な話ではあるが)景気回復こそが一番の対策となる。それとともに安易な、大人側の一方的な思惑で人生設計を揺るがすような変更を容易に行うことなく、十分な思慮の上での決定が求められよう。

■関連記事:

学歴で賃金はどれほど違いがあるのだろうか(2020年公開版)

大学卒業後の就職先、「正社員で無くても就職できれば」を肯定する親は1割足らず

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。