賃貸住宅の種類別家賃の実情をさぐる(2020年公開版)

↑ 賃貸住宅は種類で家賃がどれほど違うのか。(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

住宅は所有状態で区分すると大きく「持家」「借家(賃貸住宅)」に二分される。「一国一城の主」の言葉にある通り、多くの人は「持家」獲得のために努力を続けることになるが、「借家」で満足する人、多様な理由で借家住まいを強いられる人も多い。その借家における賃貸料、つまり家賃の平均相場について、総務省統計局が2019年4月に発表した、2018年時点における住宅・土地統計調査の速報集計結果から確認をする。

1978年以降における、「店舗その他との併用住宅も含めた借家全体」(総数)をはじめとする、主要借家の畳(たたみ)1畳分あたりの全国平均家賃の推移は次の通り。「公営の借家」(都営、市区町村が運営する賃貸住宅。いわゆる「公団」)に関しては1990年代以降ほぼ横ばいの傾向を示していることが分かる。物価の上昇もほとんど起きていないことを合わせて考えれば、非常に安定した家賃で提供されている借家といえる。もっともその分、入居条件が厳しく、誰もが気軽に借りられるとは限らない(それでも最近の地方における物件では、そのハードルは随分と下がっているようだが)。

↑ 借家の種類別1畳あたり家賃(円)
↑ 借家の種類別1畳あたり家賃(円)

「給与住宅」とは「社宅や公務員住宅などのように、会社や団体、官公庁などが所有または管理して、その職員を職務の都合上または給与の一部として居住させている住宅」を指す。言い換えれば給金の一部が家賃として肩代わりされていることになる。この「給与住宅」は元々福利厚生の一環的なところもあり、長らく各項目中では最安値を示していたが、2003年には「公営の借家」と逆転。その後も家賃は上昇中。一般的な借家と比べればまだまだ割安だが、この上昇ぶりはやや気になるところ。居住環境そのものを改善させて、「単に住めればよい」から「快適な住環境の提供」へとシフトし、就業のメリットを底上げ。その過程で家賃も引き上げざるを得なくなっているのかもしれない(それでも民間の一般的な借家と比べれば割安だが)。

「都市再生機構・公社の借家」は漸増を続けているが、意外にも民間の一般的な借家は「木造」「非木造(=鉄筋コンクリート)」ともに横ばいから漸減の傾向にある。特に区分では最高値を維持している「非木造借家」は3832円にまで値を落とし、「都市再生機構・公社の借家」の家賃に肉薄しつつある。地域による違いも大きいが、民間の借家相場が安定化しつつある表れともいえる。

相場安定、漸減化の理由は複数考えられる。賃貸市場そのものの安定化、さらには供給側の過多、借入側の可処分所得の横ばい傾向、そして既存賃貸住宅の老朽化に伴う家賃アップの困難さなどが想起される。

余談になるが、2018年における地域別の1畳あたりの家賃について確認をする。当然といえば当然だが、関東大都市圏の方が家賃は高い。

↑ 借家の1畳あたり家賃(地域別、円)(2013~2018年)
↑ 借家の1畳あたり家賃(地域別、円)(2013~2018年)

関東大都市圏の家賃は総数と比べると4割近くのアップ。例えば家賃を6万円と設定すると、関東大都市圏なら全面積約14畳、しかし全国平均なら20畳近くの賃貸住宅が借りられる計算になる。

大都市圏にはそれなりのメリット・そこに住む必要性がある。しかし家賃の観点で眺めると、その分の対価を余計に支払う必要性が生じてくる。特に関東大都市圏の居住者は、その実情を(懐が)痛いほど実体験しているはずだ。

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