賃貸住宅の空き家率の推移をさぐる(2020年公開版)
アパートやマンションなどの賃貸住宅において、空き家はどれぐらいあるのだろうか。過去からの推移について、総務省統計局が2019年4月に発表した住宅・土地統計調査の結果から確認する。
今件における賃貸住宅の空き家率は具体的に次の式で算出される。
「賃貸住宅の空き家率」=
「空き家の賃貸住宅数」÷(「空き家の賃貸住宅数」+「居住世帯のある賃貸住宅数」)
「空き家の賃貸住宅数」は1978年より前は計測されていないので、それ以降のもののみを抽出し、各年毎の値を用いて空き家率を算出、それをグラフ化したのが次の図。
賃貸住宅の供給数自身は大きな伸びを示しているが、それとともに、むしろそれ以上の割合で空き家数も増加。結果として空き家率も増加する結果となっている。もっとも2013年以降は伸び方も落ち着きを見せ、空き家の増加度合いも大人しいものとなっている。概算ではあるが、2018年時点で賃貸住宅5戸のうち1戸近くは空き家、との計算になる。
もちろんこれは全国平均で、しかも物件の築年数や立地条件などによる区分もない。築数十年が経過してあと数年で立て壊す予定の賃貸住宅も含まれている。首都圏の駅そばに建てられた新築賃貸住宅も、押し並べて2割近い空き家率を数えているわけではない。
試しに大まかな地域別で、賃貸住宅の空き家率を算出した結果が次のグラフ。
やはり多少ではあるが、関東地区の方が空き家率が低く、地域の方が高い値を示している。ただし近畿大都市圏では唯一2割を超える値を示しており、近畿の賃貸住宅事情がうかがい知れる結果が出ている。
また経年別「空き家率」の増加の要因には、既存の経年賃貸住宅の建て替えが進んでいない可能性もある。過去の水準・流行で設計された、古い賃貸住宅の人気が低く、空き家率が上昇するのは当然の話。
今後は古い賃貸住宅の建て替えが進むとともに、人口の減少、世帯数の増加(人口は減るものの世帯構成人数も減少し、一人暮らしが増えるため、世帯数は漸増する)など、複数の要因が絡むため、賃貸住宅の空き家率がどのような動きを示すのかは予想がつきにくい。実際直近の2018年においては、その前回調査の2013年分から0.3%ポイント減少している。
人口構成の変化なども合わせ、どのような動きを示していくことになるのか。大いに注目したいところではある。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。