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スマートフォンは3/4強の人が利用中…パソコンや携帯電話などの利用状況をさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ いつでもどこでもスマートフォンでインターネット。その利用実情は。(写真:アフロ)

インターネットを利用できる端末として現在主に使われているのは、パソコンや携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォン)、そしてタブレット型端末。その利用実情を総務省が2019年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に確認する。

次に示すのは主要情報端末別の年齢階層別行為者率。この行為者率とは該当期日(今件調査は平日2日分と休日1日分で実施している)のうち、連続して10分以上使用した人の割合を示している。例えば10代のスマートフォンは82.6%とあるので、10代のうち8割強は平日に1度以上スマートフォンを操作したことになる。10代の値ではやや少ないように思えるかもしれないが、今調査の対象年齢の下限は13歳のため、中学生も入っていると考えれば道理は通る。また今件ではプライベートに限らず、学業や就業時に利用した場合も該当する。

↑ 年齢階層別行為者率(平日)(2018年)
↑ 年齢階層別行為者率(平日)(2018年)

全体、そして年齢階層別でもすべての階層において、パソコンよりもスマートフォンの行為者率の方が高い。平日分の調査のために、現役の年齢階層では就業者の就業上でのパソコン利用が含まれている結果ではあるのだが、多くが引退をしているであろう60代でもスマートフォンの方が行為者率が高くなる実態は、スマートフォンの浸透が大いに進んでいることの裏付けではある。

10代ではパソコンの行為者率は10.3%、スマートフォンの行為者率は82.6%。実に8倍以上もの差が開いている。また従来型携帯電話の行為者率が低く、スマートフォンが高い状況は、従来型携帯電話からスマートフォンへのシフトが進んでいることを裏付ける結果と考えられる。同時に60代では「これまで使っていた従来型携帯電を継続利用している」「スマートフォンは多機能に過ぎるので従来型で十分」などの理由からか、若年層よりも従来型携帯電話の行為者率が高い実情も確認できる。

続いて行為者平均時間。これは該当年齢階層全体ではなく、行為者のみにおける平均的な利用時間。行為者の人数が少なくても、使っていない人との間で平均化されて短くなってしまうことはない。あくまでも行為者の行為実態。

↑ 行為者による平均利用時間(平日、1日あたり、分)(2018年)
↑ 行為者による平均利用時間(平日、1日あたり、分)(2018年)

パソコンの利用時間が長いのはひとえに就業時に仕事用として使うからに他ならない。意外に思えるのはタブレット型端末の利用時間。行為者率そのものは低いが、行為者の行為時間は長めで、20代では2時間以上も使っている。タブレット型端末を利用している人がその多機能性、汎用性にほれ込み、連続する形で長時間利用していることがうかがえる。あるいは学習用としての利用だろうか。

他方、スマートフォンの利用時間は若年層ほど長く、高齢層ほど短い。若年層は多くの人が、それぞれ長い時間をスマートフォンに費やしている実情がつかみ取れる。

余談になるが、休日の行為者平均時間は次の通りとなる。

↑ 行為者による平均時間(休日、1日あたり、分)(2018年)
↑ 行為者による平均時間(休日、1日あたり、分)(2018年)

平日と比較して、10代ではスマートフォンの利用時間の伸びが著しい。実に6時間近くを費やしている。平日からの時間の伸び方はタブレット型端末も似たようなもの。休みの日は思いっきり羽を伸ばしてインターネットに夢中になっている様子が想像できよう。

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※平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2019年2月23日から3月1日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

なお今調査は例年11~12月にかけて行われるが、直近分は翌年の2~3月となっている。グラフや本文上の表記や考察は、報告書に準ずる形で2018年と表記する。また調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが生じているが、報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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