携帯・スマホで1/4近くにまで…メディア接触時間の推移をさぐる

↑ 今でもテレビは長時間堪能するメディアに違いない、が……(写真:アフロ)

少しずつ増えていく総接触時間

利用方法や注力度合いの違いはあれど、人が1日に与えられているのは24時間しかない以上、メディアへの重点度合いはその利用時間の長さによる所が大きい。その実情を博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が2017年6月に発表した「メディア定点調査2017」(※)の公開値から確認する。

過去の分も合わせて「メディア定点調査」における各主要メディア毎の、一日あたりの平均接触時間を時系列に並べてグラフ化したのが次の図。2008年までメディア接触時間総数は減少していたが、2009年以降大きく増加。そして2010年以降は事実上横ばい。ところが2014年には大きく伸びる動きを見せた。これは新規に回答項目としてタブレット型端末が加わったことによるものと考えられる…が、単純にそれを引いてもまだ余りある増加を示していることから、加えてスマートフォンの急速な普及も大きく影響しているのだろう。

直近の2017年では前年から少しばかりの減少を示した。前年からさらに伸びれば初の400分台に突入したのだが。

↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均)(東京)(~2017年)
↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均)(東京)(~2017年)

4大従来型メディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)は波があるもののどの媒体も押しなべて減少傾向にある。他方、インターネット接続が可能なデジタルメディアでは、パソコン(PC)が2011年までは増加傾向にあったもののそれ以降は減少に転じているが、それ以外はおおむね増加の流れにある。色合いを前者は赤系統、後者を緑系統でまとめているが、グラフの色合いが左から右に渡り、少しずつ緑色の度合いが増しているのが分かる。

一方、このような動きがある中でも、単独項目ではテレビが最大利用時間の地位を維持していることに違いは無い。ただし「インターネットメディア」との仕切りでPC、タブレット型端末、携帯・スマートフォンの時間を全部足すと174.5分となり、テレビ単独の147.3分を超えることになる。タブレット型端末の項目が加わったのも一因だが、この計算方法でテレビ時間を超えたのは、2014年から連続して4年目となる。

携帯電話の利用時間は大きな伸び

それぞれのメディア接触時間の増減について、公開されている範囲で最古データの2006年時の値を基準値の100%と設定(ただしタブレット型端末は2014年からの登場なので、その年の値を基準値とする)。それぞれの変化の流れを見たのが次の図。この算出方法により、他のメディアの動きとは関係なく、個別でどれほど時間の伸縮が生じているのかが把握できる。

↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均で算出した値が元値)(~2017年)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)(タブレット型端末は2014年比)
↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均で算出した値が元値)(~2017年)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)(タブレット型端末は2014年比)
↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均で算出した値が元値)(~2017年)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)(タブレット型端末は2014年比)(のぞく携帯・スマホ)
↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均で算出した値が元値)(~2017年)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)(タブレット型端末は2014年比)(のぞく携帯・スマホ)

各媒体の動向が非常によく理解できる。例えば4マスはテレビですらも減少しているが、4マス内の他のメディア、ラジオや新聞などと比べれば健闘している。またインターネット接続により「魔法のツール」と化すデジタル系機器だが、パソコンは意外にも(!?)2011年がピークでそれ以降は漸減。一方、それとほぼタイミングを同じくして、携帯・スマホは伸び率を加速化ざせている。

テレビ離れは2010年以降の傾向として表れていたが、2014年以降はほぼ横ばいに推移している。これは多分に高齢層の増加によるところが大きい(もっとも直近では再び減少の動きにあるが)。またPCの減退は加速しており、このペースでは来年にも基準となる2006年よりも短い時間を計上することになるだろう。

シェアの変化をたどる

次に示すのは絶対時間の変移では無く、メディア接触時間全体に示す、各メディアの時間のシェア推移。絶対時間の動向よりも明確に、人々のメディアへの触れあい方に変化が生じている、具体的には従来型メディアの利用ウェイトが減り、新メディアが増えていることが把握できる。

↑ メディア接触時間時系列推移(各年の全体時間に占める割合)(~2017年)
↑ メディア接触時間時系列推移(各年の全体時間に占める割合)(~2017年)

従来型4メディアが少しずつその足場を削られ、インターネットを用いた新世代メディアが、その削った足場を奪い取る形でグラフが生成されている。さらにその新メディアの中でも新陳代謝的に、PCから携帯・スマホ(や2014年から加わったタブレット型端末)へのシフトが起きているのが一目瞭然。このような動きは昨今のメディア絡みの話ではどこでも見かける流れであり、ある意味見慣れたビジュアルともいえる。

昨今ではいくつかの調査結果において高齢層の増加を主な要因として、テレビ視聴時間の漸増が確認されていることから、今後シェアにおいてもテレビの復権の可能性はある。しかし仮にその動きが現実のものとなっても、ラジオ、新聞、雑誌の接触時間はさらに減り、結果としてデジタル系機器の接触時間の相対的・絶対的伸長といった傾向に変化を与えることにはつながらない。

それぞれのメディアの利用スタイルまで考慮すれば、単純な利用時間のみで比較をするのにはリスクがある。またインターネットを利用したメディアでも、新聞や雑誌の「コンテンツ」を視聴することはできるので、境界線が曖昧となりつつあるのも事実。とはいえ、メディアそのものの利用との観点で考えれば、シフトが継続することは間違いあるまい。

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※メディア定点調査2017

調査方法は郵送調査方式。調査期間は2017年1月26日から2月10日。東京・大阪・愛知・高知の4地区を対象に RDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15歳から69歳の男女に対し調査票が送付され、2496通が回収された。各値は2015年の住民基本台帳を基に年齢階層・男女でのウェイトバックが実施されている。また特記無き限り記事内のデータは基本的に東京地区のもの。

過去の調査では利用機器に2014年からタブレット型端末が追加されている。2013年までは(ノート)パソコンと同一視され回答にくわえられていた可能性もあるが、2014年以降は機器として独立項目が設けられたため、以前と比べてメディア接触時間の合計が上乗せされている感が強い(メディア接触時間が有意で増加している)。