固定電話の利用率、20代は平日で0.2%…コミュニケーション系メディアの利用状況(2019年公開版)
10~20代の固定電話の平均行為者率は平日で1%足らず
インターネットの普及と技術の進歩に伴い、コミュニケーションの形も通話からデジタルに、そしてデジタル内でも電子メールからソーシャルメディアへと、その利用頻度や注力度合いはシフトしつつある。利用のしやすさ、気兼ねの度合い、融通の利き易さなどでメリットが多い手法の方が多く使われるのは当然の成り行きだからだ。今回は総務省が2019年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公開した「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、個人が意思疎通のために用いるメディアの利用状況について、利用しているか否かの観点から確認をする。
次に示すのは平日におけるコミュニケーションメディアの平均行為率。要はどの程度利用されているか。例えば10代のソーシャルメディアの値は55.3%とあるので、10代の5割台は平日において、ソーシャルメディアを使ってコミュニケーションをしている計算になる。また、これらのツール以外にもコミュニケーション手段は存在する(直接口頭、手紙、貼り紙など)ことにも留意する必要がある。
全体では4割台が電子メールを用いている。利用ハードルが低く、パソコンだけでなく携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)も含むため、利用者が多いのも当然の話。それに続きソーシャルメディア、そして携帯電話(通話)と続く。固定電話(通話)、インターネット通話(Skype、LINEなどの音声通話)の利用者率が低めなのは、利用ハードルが高いことに加え、導入者自身が少ないことも一因として挙げられる。当事者が導入していても、意思を伝えたい相手の環境が整っていなければ、意思疎通の手段としての利用は不可能。
年齢階層別に見ると、コミュニケーション系メディアの年齢階層間格差、様態の違いの大きさが改めて認識できる。10代はソーシャルメディアが一番多く、そこから随分と値を落とす形で電子メールが続き、インターネット通話と携帯電話(通話)がどうにか顔をみせる。固定電話(通話)は0.7%。インターネット通話同様、固定電話(通話)もまた、利用する機会が無い以外に器材そのものが無い人も多分にいるのだろう(就業者ならば勤め先で利用する機会はあるが)。
20代になると電子メールの利用率も上がるが、まだソーシャルメディアの方が利用率は上。しかも10代以上に使われている。また、携帯電話(通話)による通話も1割近くにまで上がる。ビジネス面で使う事例も増えるからだと考えれば納得はいく。しかし固定電話(通話)は10代よりもむしろ低めで0.2%でしかない。正直なところ、10~20代の固定電話利用率は実質的にゼロ扱いしてもよく、誤差の範囲でのぶれの値でしかない。
30代以降は電子メールとソーシャルメディアの順位が逆転し、ソーシャルメディアは漸次減っていく。興味深いのは携帯電話(通話)の通話利用が高止まりしていること。高齢層においても、携帯電話を介した通話の手法は十分に普及していることを意味している。また、高齢層ではデジタル系でも電子メールはそれなりに使われており、注目に値する。
休日の実情は
今件は休日でも調査が行われ、結果が公開されている。そこで休日の動向と、さらに平日との差異を算出した結果をグラフ化する。
10代は休日では全般的に平日と比べて行為率が増える。平日では学業などで多忙なために知人とのコミュニケーションを行う時間的余裕が無かった分、休日に活性化するのだろう。特に相手の時間を拘束する、インターネット通話や携帯電話(通話)の利用機会が増えているのが特徴。
一方20代以降になると電子メールの行為率が大きく下がる。また固定電話(通話)の行為率も落ち込みを見せている。これは多分に、平日のこれらのメディア利用が就業によるもの、または就業場の端末を利用していたことを示唆する動きと考えられる。仕事では電子メールで連絡をするため利用することになるが、プライベートでは使わないために利用率がその分落ちる次第である。プライベートでは使う事例が多いからか、ソーシャルメディアの利用率が上昇している層が複数の年齢階層で見受けられるのも、公私を使い分けている様子を想像させる。
また休日のインターネット通話が増えているのは、多分にLINEなどで知人とのやり取りを携帯電話(通話)代わりに用いているものと思われる。使える情報、機能はインターネット通話の方が上であり、また料金面でも有利だからだ。
今後さらなるスマートフォンの普及に伴い、ソーシャルメディアを中心とした、コミュニケーションツールのデジタルへのシフトが進むことは間違いない。それに連れてコミュニケーション全体の増加もまた、推し進められていくのだろう。
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※平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2019年2月23日から3月1日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。
なお今調査は例年11~12月にかけて行われるが、直近分は翌年の2~3月となっている。グラフや本文上の表記や考察は、報告書に準ずる形で2018年と表記する。また調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが生じているが、報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。