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ソーシャルメディアを通じて誰を見ているか、その実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ いつでもソーシャルメディアにアクセスして閲覧。その対象は誰だろう。(写真:アフロ)

・ソーシャルメディアは家族や友人など、身近な人との結びつきを強化するツールとしても有効。

・ソーシャルメディアの種類によって、閲覧先の傾向は大きく異なる。

・LINEは特に身近な人とのつながりを補完する役割を果たしているようだ。

ソーシャルメディアは容易に利用できるメディアであることから、電話や手紙のような既存の情報ツール以上に人々のつながりを促進する効用がある。自宅や会社にいればすぐにやり取りができるような距離感の相手ともソーシャルメディアでつながり、そこでのやり取りの方が高頻度となっている人も少なくあるまい。今回は総務省が2018年7月に発表した「情報通信白書」内で公開している独自調査「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(※)を基に、ソーシャルメディアの利用者がどのような対象の書き込みなどを閲覧しているか、その実情を確認していく。

次に示すのはそれぞれのソーシャルメディア利用者において、どのような対象(アカウント)を閲覧しているかを複数回答で尋ねたもの。具体的な項目で「ソーシャルメディアを通じて知り合った人」以外は何らかの形で現実でも対面している人ということになる。

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↑ ソーシャルメディア利用時の閲覧先(複数回答、各ソーシャルメディア利用者限定)(2018年)
↑ ソーシャルメディア利用時の閲覧先(複数回答、各ソーシャルメディア利用者限定)(2018年)

「掲示板」「情報・レビュー共有サイト」「Twitter」「ブログ」「Instagram」では自分の知り合い以外を閲覧している人が多く、「LINE」や「Facebook」では少ない。それぞれのソーシャルメディアがどのようなつながりで使われているか、よく分かる。

他方、「LINE」では身近な対象を閲覧している事例が極めて多く、「友人」では5割近くに達している。「Facebook」も「友人」に限れば5割近くだが、「配偶者」「両親」「自分の子供」「その他親戚」では1割にも満たない。その代わり「仕事を通じて知り合った、同僚以外の知人」「仕事以外の知人」など、仕事やそれ以外との関係で知り合っている知人の閲覧は「Facebook」が抜きんでている。ただし「勤務先の同僚」に限れば「LINE」が上回っているのは興味深い。

これらの傾向について白書では次のようにまとめている。

ソーシャルメディアは、家族や友人など、身近な人との結びつきを強化するツールとしても有効である。アンケート調査では、FacebookやLINEなどが、身近な人とのつながりを補完するコミュニケーションツールになっていることが明らかになった。特に、その傾向はLINEで顕著であり、LINEを活用している人のうち、20%以上が配偶者や子供、その他親戚といった家族とのコミュニケーションに用いていることが明らかになった。

そのLINEについて抽出したのが次のグラフ。対象の並びは上記グラフと同じにしている。

↑ ソーシャルメディア利用時の閲覧先(複数回答、LINE利用者限定)(2018年)
↑ ソーシャルメディア利用時の閲覧先(複数回答、LINE利用者限定)(2018年)

肉親や日常生活でごく身近に、普段から直に対話するような相手を閲覧している率が極めて高い。特に「友人」はほぼ半数。「LINE」利用者の半数ほどが、友達とのやり取りに用いていると考えてよいだろう。

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※ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究

日本・アメリカ合衆国・イギリス・ドイツにおいて2018年2月から3月にかけてインターネット経由で20~69歳(日本のみ20~79歳)の男女に対し行われたもので、有効回答数は日本で1200人、それ以外の国でそれぞれ1000人。10歳区切りの年齢階層と男女別で均等割り当て。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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