北方領土に関する参加型の広報啓発活動を活性化するために望まれているものとは(2018年12月発表版)

↑ もっとも期待されているのはテレビなどによる広報・啓発の充実。(ペイレスイメージズ/アフロ)

内閣府が2018年12月に発表した「北方領土問題に関する世論調査」(※)の結果によると、北方領土に関する参加型の広報啓発活動において、参加促進手法としてもっとも多くの人が重要視しているのは「新聞、テレビやラジオなどを用いた北方領土問題の広報・啓発の充実」だった。次いで「北方領土の問題についての学校教育の充実」「テレビや新聞で問題を取り上げてもらうための取り組み」が続いている。

「北方領土問題」とは北海道本島の東側に位置する、日本固有の領土である北方四島(歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島、国後(くなしり)島、択捉(えとろふ)島)が、ソ連/ロシアによる法的根拠を持たない状態での占拠が続いている状況に対し、日本への返還を求めている問題。「法的根拠」無くとは第二次世界大戦の末期1945年に、当時のソ連がその時点で有効であった日ソ中立条約を無視して対日参戦し、北方四島を占領、ソ連がロシアになった現時点でも占拠し続けていることを指す。またこの問題が存在するため、日ロ間では現在もなお平和条約は締結されていない。

↑ 北方領土とその周辺の地図(外務省:北方領土問題ページから抜粋)
↑ 北方領土とその周辺の地図(外務省:北方領土問題ページから抜粋)

今調査の結果によれば、北方領土の返還を要求する運動が多様な手法で行われているが、参加意思を持つ人は3割に届いていない。

↑ 北方領土に関する参加型の広報啓発活動に参加したいか(2018年)
↑ 北方領土に関する参加型の広報啓発活動に参加したいか(2018年)

今件運動では、その中心となってきた元島民をはじめとした関係者が高齢化しており、新しい参加者と運動の継続・意欲の高まりが強く求められている。そこでどのようにすれば新たな参加者を運動に取り組むことができるのか、複数回答で聞いた結果が次のグラフ。最上位には「新聞、テレビやラジオなどを用いた北方領土問題の広報・啓発の充実」が59.2%でついている。

↑ 北方領土に関する参加型の広報啓発活動への参加者を増やすためにはどのような取り組みが必要か(複数回答)(2018年)
↑ 北方領土に関する参加型の広報啓発活動への参加者を増やすためにはどのような取り組みが必要か(複数回答)(2018年)

「新聞、テレビやラジオなどを用いた北方領土問題の広報・啓発の充実」は第3位の「テレビや新聞で問題を取り上げてもらうための取り組み」と、テレビや新聞などのマスメディアを使う点では同じだが、情報の公知に関しての主導権をどこが握るかの違いがある。トップはあくまでも政府や啓発活動をする関連機関、第3位はテレビや新聞などのマスメディア側にある。双方を見比べ、トップの選択肢の方が高い値を示している点も併せ、色々と考えさせられるところがある。

今調査においては、北方領土問題の認知ルートとしてはテレビ・ラジオや新聞が有効性が高く、学校の授業で知った人は25.4%に留まっている。

↑ 北方領土問題を何で知ったか(聞いたことがある人限定、複数回答)(2018年)
↑ 北方領土問題を何で知ったか(聞いたことがある人限定、複数回答)(2018年)

その上で学校教育の充実を求める声が第2位として入っているのは、「子供のうちから」との思いだけでなく、「現状では十分な質・量に達していない」との認識が強いものと考えられる。

また「現状では全然足りない」との点では「ホームページやSNS(ソーシャルメディア)での広報・啓発の充実」「SNSで北方領土を取り上げてもらう取り組み」も「学校教育」と同じ。特にSNSは認知ルートとしては4.3%でしかないのにもかかわらず21.8%の人が必要と考えており、SNSにかける期待が大きいことを表している。

他方、「気軽に参加できる広報・啓発イベントの充実」「団体関係者などが一堂に会する大会の充実」のような、実際に足を運ぶ、日常生活の時間を新たに割くような行動の同意者は低め。「受け手にとって新たな負担となるようなものは避け、日常生活に溶け込むような負担の無い、軽い切り口でアピールすべき」との総意が透けて見えてくる。

特にインターネット関連の展開は重要と思われるが、同時に行政によるインターネットにかかわる「仕掛け」は概してピント外れ、旧態依然の手法をそのまま取り組んで大いに空振りする傾向が強い。海外の事例も参考にした上で、鼻で笑われないような手立てを講じてほしいものだ。

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※北方領土問題に関する世論調査

直近分は2018年10月18日から10月28日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を持つ人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は1663人。男女比は806対857、年齢階層別構成比は10代42人・20代127人・30代206人・40代286人・50代286人・60代300人・70歳以上416人。過去の調査もほぼ同様の形式で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。