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「現状維持が望ましい」58%…日本自身の移民に対する思惑をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ アメリカ合衆国の移民問題が連日報じられる昨今。日本での自国の移民への思いは。(写真:ロイター/アフロ)

先進諸国で大きな問題となっている移民問題。自国を離れ他の国で生活すること・人を意味するが、人数が多くなると出国側の過疎化、入国側の受け入れ体制の整備をはじめとする経済的負担の増加、文化や社会慣習の違いで生じるあつれきなどが問題視されている。日本人はこの移民問題についてどのような考えを抱いているのか。アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerの調査「Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future」(※)の結果報告書を基に、実情を確認する。

他国から日本にやってくる移民について、日本人はどのような思いを抱いているのか。人数に関しては今後増えるべきでは無く、減らすべきでも無く、現状維持が望ましいと考えている人が6割近くに達しているとの結果が出た。

↑ 日本にやってくる移民の数はどうすべきか(2018年)
↑ 日本にやってくる移民の数はどうすべきか(2018年)

個々の対象者の条件や周辺環境によって判断に違いは出てくるだろうが、全体的な人数動向ならば、増やすべきとの意見が減らすべきよりは多いものの、現状維持を望む人が過半数であるのが実情。報告書では属性別動向に関して大きな違いは無く、かろうじて高世帯所得者の方が低世帯所得者よりもいくぶん移民を増やすべきとの意見が多いと伝えている。

現状維持が多数派となっているのが日本への移民問題との結果が出たが、それでは今現在における日本の移民についてはどのような考えを持っているのか。4つの観点でどちらがより回答者の考えに近いかを尋ねた結果が次のグラフ。あくまでも回答者の考えであることに注意。

↑ 現在の日本における移民についてどう思っているか(2018年)
↑ 現在の日本における移民についてどう思っているか(2018年)

否定的な意見をA、肯定的な意見をBにまとめたが、今設問に限ればすべてにおいて肯定的な意見の方が多数派となっている。現状では移民への印象は肯定的なようだ。もっとも、例えば犯罪リスクについて40%の人は高いとの認識を抱いている。今後の状況次第ではこの値が大きく揺れ動く可能性は否定できない。

報告書では一つだけだが具体的な属性別動向を挙げている。具体的には「テロリスクへの懸念を持つ人は50歳以上では28%だが18~29歳では43%」とのことである。

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※Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future

直近年分の調査は2018年5月24日から6月19日にかけて、RDD(固定電話40%、携帯電話60%)で選択された18歳以上の日本在住の人に対し、通話によるインタビュー形式で行われたもので、有効回答数は1016人。国勢調査の結果を基にウェイトバックがかけられている。なお過去の調査も同様の条件で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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