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日本の民主主義の実情に満足している人は40%のみ

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 民主主義の象徴ともいえる国会議事堂。(ペイレスイメージズ/アフロ)

日本は政治体制として他の多くの国同様に議会制民主主義を採用しており、それが長きにわたって続いている。人々は現状のこの体制にどれほど満足しているのだろうか。アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerの調査「Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future」(※)の結果報告書を基に、実情を確認する。

最初に示すのは日本における民主主義の実情について、どれほど満足しているかを答えてもらったもの。「大変満足」「それなりに満足」から成る満足派は40%、「あまり満足していない」「まったく満足していない」で構成される不満派は56%となった。

↑ 日本における民主主義の実情への満足度合い(2018年)
↑ 日本における民主主義の実情への満足度合い(2018年)

この設問について属性別回答動向として報告書では「男性は47%、女性は34%が満足派」「与党支持者は63%が満足派だが、希望の党支持者は48%、国民民主党支持者は42%、立憲民主党支持者は28%に留まっている」と説明している。

民主主義の動向には否定的な人が多いのが日本の現状だが、一方で社会そのものの現状には肯定的な意見が多いようだ。次に示すのは多様な観点で現在の日本の社会について判断を示してもらったものだが、肯定的な意見が多いのが分かる。

↑ 日本の実情に関する感想(2018年)
↑ 日本の実情に関する感想(2018年)

「国民は意見を表明する権利(表現の自由)が保護されている」と認識している人は62%。否定している人は35%に留まっている。「裁判制度はすべての人を公平に扱う」は54%、「多くの人は生活水準向上の機会を得ている」は53%が同意をしている。また「夜間に外を歩くのは危険だ」を否定している人は70%にも達している。

他方、「誰が選挙に勝っても物事はあまり変わらない」は62%が同意しているのをはじめ、「ほとんどの政治家は腐敗している」は53%が同意、「議員は市民の考えに配慮する」には35%しか同意者がいない。最初の「日本における民主主義の実情への満足度合い」の結果も併せ、日本の社会の、少なくとも一般の人が考えている実情がよく表れている結果には違いない。

この設問に関しても報告書では属性別動向をいくつか示している。具体的なものをいくつか挙げると「政治家の腐敗には18~29歳では66%が同意しているが50歳以上は50%。男性は48%だが女性は57%」「国民は意見を表明する権利が保護されていると見ている人は男性では66%だが女性では57%に留まっている」「生活水準向上の機会を得ていると考えている人は男性で58%だが女性では48%でしかない」などとなっている。色々と納得できる値ではある。

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※Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future

直近年分の調査は2018年5月24日から6月19日にかけて、RDD(固定電話40%、携帯電話60%)で選択された18歳以上の日本在住の人に対し、通話によるインタビュー形式で行われたもので、有効回答数は1016人。国勢調査の結果を基にウェイトバックがかけられている。なお過去の調査も同様の条件で実施されている。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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