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若年層のテレビ離れか…テレビ番組を生放送で観ている人の割合の変化をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ テレビの生放送は映像を観るタイプの娯楽の主役ではあるのだが。(ペイレスイメージズ/アフロ)

インターネットの普及によって映像を観るタイプの娯楽の選択肢は増えた。それではかつてその娯楽の主役だった、テレビ番組を生放送で観る人の割合は減っているのだろうか。実情を総務省情報通信政策研究所が2018年7月に発表した「平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)などの調査結果を基に確認する。

次に示すのは直近の2017年分も含めた、「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」において公開され取得が可能な、都合6年分における、テレビ番組をリアルタイムで観た(「テレビ(生)」)人の行為者率(該当期日(今件調査は平日2日分と休日1日分で実施している)のうち、連続して10分以上その行為をした人の割合)。用いた機種はテレビ受像機がメインだが、他にスマートフォンやパソコンによるワンセグなども該当する。また録画した番組の再生や、ダウンロードしたもの、さらには他媒体で調達したものの再生はカウントしていない。あくまでも放送時にリアルタイムで視聴した人のみ。

なお休日分のデータは2013年から調査が開始されているため、現時点では都合5年分の動向となる。

↑ テレビ(生)行為者率(平日、属性別)
↑ テレビ(生)行為者率(平日、属性別)
↑ テレビ(生)行為者率(休日、属性別)
↑ テレビ(生)行為者率(休日、属性別)

ここ数年でインターネットに関わる機器の技術進歩や普及の度合いは爆発的と表現してもよいほどに歩みを速めている。動画観賞の面では若年層を中心に、映像文化の認識、価値観は大きく変わりつつある。今調査の経年変化の限りでは、まだ6年(休日は5年)分でしかないが、テレビの生放送の観賞について、時間、注力が奪われ、減少している様子は、若年層から中年層に限り、男女を問わずに平日・休日を問わずに多少ながらも確認できる。

他方50代から60代に関しては、平日で減るような気配も見られたが、直近年では大きく増加に転じており、若年層から中年層までと比べると別の動きをしているように見える。あくまでもこれまで通り、テレビの生放送を観続けるようである。

これまでテレビの生放送の観賞に充てていた時間がどこにシフトしたかは今調査の結果からは確認ができない。しかし(グラフ化は略するものの)テレビによる録画番組の再生観賞の行為者率・行為者行為平均時間に大きな経年での変化が無いことから、インターネットによる動画観賞に移ったと見た方が自然ではあろう。

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※平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2017年11月11日から17日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケートと日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。グラフ・本文中の表記の「10代」は、厳密には13~19歳を意味する。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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