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固定電話の利用率、20代は平日で0.9%…コミュニケーション系メディアの利用状況をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 業務でならともかく自宅ではあまり見られなくなった固定電話だが。(写真:アフロ)

・コミュニケーション系メディアの中では、10代~20代はソーシャルメディアが一番多く使われているが、30代以上では電子メールが一番となる(2017年)。

・10代は携帯電話の通話機能もほとんど使っていない。

・休日の利用動向を平日と比べると、電子メールや固定電話(通話)は使われなくなる。

10代~20代の固定電話の平均行為者率は平日で1%足らず

インターネットの普及と技術の進歩に伴い、コミュニケーションの形も通話からデジタルに、そしてデジタル内でも電子メールからソーシャルメディアへと、その利用頻度や注力度合いはシフトしつつある。利用のしやすさ、気兼ねの度合い、融通の利き易さなどでメリットが多い手法の方が多く使われるのは当然の成り行きだからだ。今回は総務省が2018年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公開した「平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、個人が意思疎通のために用いるメディアの利用状況について、利用しているか否かの観点から確認をする。

次に示すのは平日におけるコミュニケーションメディアの平均行為率。要はどの程度利用されているかを示す利用率。例えば10代のソーシャルメディアの値は60.4%とあるので、10代の6割強は平日において、ソーシャルメディアを使ってコミュニケーションをしている計算になる。また、これらのツール以外にもコミュニケーション手段は存在する(直接口頭、手紙、貼り紙など)ことにも留意する必要がある。

↑ コミュニケーション系メディアの平均行為率(平日)(2017年)
↑ コミュニケーション系メディアの平均行為率(平日)(2017年)

全体では半数近くが電子メールを用いている。利用ハードルが低く、パソコンだけでなく携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)も含むため、利用者が多いのも当然の話。それに続きソーシャルメディア、そして携帯電話(通話)と続く。固定電話(通話)、インターネット通話(Skype、LINEなどの音声通話(ビデオ通話含む))の利用者率が低めなのは、利用ハードルが高いことに加え、導入者自身が少ないことも一因として挙げられる。当事者が導入していても、意思を伝えたい相手の環境が整っていなければ、意思疎通の手段としては利用は不可能。

年齢階層別に見ると、コミュニケーション系メディアの年齢階層間格差、様態の違いの大きさが改めて認識できる。10代はソーシャルメディアが一番多く、そこから随分と値を落とす形で電子メールが続き、インターネット通話と携帯電話(通話)がどうにか顔をみせる。固定電話(通話)は0.7%。インターネット通話同様、固定電話(通話)もまた、利用する機会が無い以外に器材そのものが無い人も多分にいるのだろう(就業者ならば勤め先で利用する機会はあるが)。

20代になると電子メールの平均行為者率も上がるが、まだソーシャルメディアの方が平均行為者率は上。しかも10代以上に使われている。また、携帯電話(通話)による通話も1割強にまで上がる。ビジネス面で使う事例も増えるからだと考えれば納得はいく。しかし固定電話(通話)は10代とほとんど変わらず、0.9%でしかない。正直なところ、10代・20代の固定電話の値は誤差の範囲でのぶれレベルのものでしかない。

30代以降は電子メールとソーシャルメディアの順位が逆転する。そして電子メール以外のデジタル系メディアの利用が減り、固定電話(通話)の利用がわずかずつだが増えていく。興味深いのは携帯電話(通話)の通話利用が高止まりしていること。高齢層においても、携帯電話を介した通話の手法は十分に普及していることを意味している。また、高齢層ではデジタル系でも電子メールはそれなりに使われており、注目に値する。

休日の実情は

今件は休日でも調査が行われ、結果が公開されている。そこで休日の動向と、さらに平日との差異を算出した結果をグラフ化する。

↑ コミュニケーション系メディアの平均行為率(休日)(2017年)
↑ コミュニケーション系メディアの平均行為率(休日)(2017年)
↑ コミュニケーション系メディアの平均行為率(休日における平日との差異、ppt)(2017年)
↑ コミュニケーション系メディアの平均行為率(休日における平日との差異、ppt)(2017年)

10代は休日では全般的に平日と比べて平均行為者率が増える。平日では学業などで多忙なために知人とのコミュニケーションを行う時間的余裕が無かった分、休日に活性化するのだろう。特に相手の時間を拘束する、インターネット通話や携帯電話(通話)の利用機会が増えているのが特徴。

一方20代以降になると電子メールの平均行為者率が大きく下がる。また固定電話(通話)の平均行為者率も落ち込みを見せている。これは多分に、平日のこれらのメディア利用が就業によるもの、または就業場の端末を利用していたことを示唆する動きと考えられる。仕事では電子メールで連絡をするため利用することになるが、プライベートでは使わないために平均行為者率がその分落ちる次第である。プライベートでは使う事例が多いからか、ソーシャルメディアの平均行為者率が上昇している層も複数の年齢階層で見受けられるのも、公私を使い分けている様子を想像させる。

また休日のインターネット通話が増えているのは、多分にLINEなどで知人とのやり取りを携帯電話(通話)代わりに用いているものと思われる。使える情報、機能はインターネット通話の方が上であり、また料金面でも有利だからだ。

今後さらなるスマートフォンの普及に伴い、ソーシャルメディアを中心とした、コミュニケーションツールのデジタルへのシフト化が進むことは間違いない。それに連れてコミュニケーション全体の増加もまた、推し進められていくのだろう。

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※平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2017年11月11日から17日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。グラフ・本文中の表記の「10代」は、厳密には13~19歳を意味する。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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