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コンビニでは1日に何箱たばこが売れているのかをさぐる(上)…概算編

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ たばこは今でもコンビニの主要販売品。実のところどれほど売れているのか(写真:アフロ)

たばこの全売り上げに占める割合は24%

最近は値上げや健康志向を受けて勢いは落ちているものの、たばこがコンビニにおける主要商品の一つには違いない。では実際に店舗あたりでどれほど売れているのだろうか。大手コンビニの一つであるローソンの統合報告書(アニュアルレポート)による公開値をもとに検証する。

ローソンの統合報告書の最新版ではたばこの売上比率に関して「たばこの販売構成比は3.9%」(直近年度)と明記されている。この売上額は4873億円。

↑ 商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)(統合報告書から作成)
↑ 商品群別売上高構成比率推移(連結・チェーン全店、ローソン)(統合報告書から作成)
↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)(統合報告書から作成)
↑ 商品群別売上高推移(連結・チェーン全店、ローソン)(億円)(統合報告書から作成)

少なくとも年ベースでは売り上げをかさ上げし、その伸び率は他商品区分と比べて高い領域で推移。結果として全売り上げに占めるシェアは伸びつつあった。しかし2013年の26.1%をピークに、たばこの値上げや健康志向の高まりを受け、全体比率・売上共に減少へと転じている。売り上げの減少度合いが少ないのは、全体比率との関係を見れば分かる通り、店舗数の増加で販売機会そのものが増えているからに他ならない。

1日1店舗でどれほどたばこが売れているのか

「たばこの売上は全体の23.9%」。この値が判明していれば、あとは1店舗あたりの1日平均売上を確認できれば、平均的な店舗における「たばこの日次販売額(平均日販)」が計算できる。そしてたばこの平均単価は約450円なので(ローソンの最新年度の締めである2017年2月末時点では主要銘柄のセブンスターが460円、メビウス(旧マイルドセブン)が440円。間を採ると450円)、その金額で割り算をすれば「どれだけの個数が」売れたのかも(概算ではあるが)把握できる。

「平均日販」こと1日の店舗単位での平均売上は、統合報告書では無く決算短信の補足資料中に表記を見つけることができる。それによると2016年度(上記グラフでは2017年に該当)は全店で54万0000円。ちなみに既存店だが客数は819人/日、客単価は608円/人。

よって、1店舗あたりの1日のたばこ販売額と箱数は、

・54万0000円×23.9%=12万9060円(/日)

・12万9060円÷450円=286.8箱(/日)

となり、1日に約287箱のたばこが売れている計算になる。

仮に販売箱数の約半分がカートン(10箱入り)買いで、残りの半分はすべて1人が2箱の形で買われたとすると、(143.4÷10)+(143.4÷2)=86.04人となり、コンビニ(今件ではローソンだが)の1日の来場客数819人のうちほぼ1割ほど(10.5%)が、たばこ購入による来店となる(たばこがメインでは無いかもしれないが、少なくともたばこを購入したお客)。売り上げだけでなく、来店機会の観点でも「たばこ」がコンビニを支えている実態が改めて認識できる値である。

とはいえ、例えば2013年時点で同じような計算をすると、「340箱/店・日」「来場客数の11.7%がたばこ購入」となる。明らかにたばこの販売における勢いが衰えているのが確認できる。

たばこの集客力、売上が減少している以上、コンビニ各社がプライベートブランドのスイーツや惣菜、ドリップコーヒー、ドーナツなど、汎用的で来店機会を生み出しやすい商品開発に熱意を払っているのも、十分理解できる次第である。

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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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