一般週刊誌の部数動向をさぐる

↑ 電車内で雑誌を読む姿もあまり見かけなくなった(ペイレスイメージズ/アフロ)

すき間時間を埋める最良の友だった雑誌は、スマホの普及に伴い急速に売上が厳しいものとなっている。その実情はいかなるものか、一般週刊誌における販売動向を、日本雑誌協会が四半期ベースで発表している印刷証明付き部数(該当四半期の1号あたりの平均印刷部数。印刷数が証明されたもので、出版社の自称・公称部数では無い。売れ残り、返本されたものも含む)からさぐる。

次に示すのは一般週刊誌のジャンルに該当する雑誌の、直近にあたる2017年第1四半期(1~3月)における、前年同期比の部数動向。写真を中心に記事を展開する、いわゆる写真週刊誌も含む。印刷物は季節により販売数の変化が大きく生じるため、季節変動を考慮しなくても良い前年同期比の方がすう勢を見るのには適している。

↑ 一般週刊誌印刷実績変化率(2017年1~3月、前年同期比)
↑ 一般週刊誌印刷実績変化率(2017年1~3月、前年同期比)
↑ 一般週刊誌印刷証明付き部数(2017年1~3月)(万部)
↑ 一般週刊誌印刷証明付き部数(2017年1~3月)(万部)

印刷証明付き部数を収録している雑誌に限定しているとはいえ、最低でも10万部の印刷部数は確保されている……と表現したいところだが、「サンデー毎日」「AERA(アエラ)」が「10万部割れ倶楽部」入りをしている。特に「AERA(アエラ)」の衰亡ぶりは著しく、部数がほぼ一直線に減っている状態。

↑ AERA印刷実績
↑ AERA印刷実績

もっともそれ以外の雑誌は、相応の需要は「今のところ」維持されていることになる。想定購読層が幅広い一般週刊誌ならではの値といえる。「SPA!」もやや危うい部数だが、同誌の部数は横ばいを維持しているので、こちらは「10万部割れ倶楽部」への入会はなさそう。

↑ SPA!印刷実績
↑ SPA!印刷実績

前年同期比でプラス領域にあるのは、誤差領域内(プラスマイナス5%内)で1誌のみ。他方、マイナス誌は11誌、誤差を超えての下げ幅を示しているのはそのうち7誌。あまり良い状況とは言い難い。かつては新聞同様、電車やバスなどの通勤・通学時の合間には欠かせない存在だった一般週刊誌も、その需要は確実にスマートフォンなどに奪われ、肩身の狭い想いをしている、さらに継続的なプレッシャーを受けていると見て良い。

昨今何かと世間を騒がせている「週刊文春」だが、前年同期比でプラス0.8%、前四半期比ではマイナス2.2%。誤差領域の値動きであり、ここ一年間では健闘との見方もできるが、業績が伸びたとの断定はまだ難しい。絶対部数の多さに支えられてはいるものの、中長期的な低迷感の中にあることに変わりはない。先日発覚した、中吊り広告に絡んだスキャンダルがいかなる影響を及ぼすのか、今後の動向が注目される。

↑ 週刊文春印刷実績
↑ 週刊文春印刷実績
↑ 週刊文春印刷実績(過去5年間、万部)
↑ 週刊文春印刷実績(過去5年間、万部)

昨今の動向はある意味部数低迷のテコ入れ的な活動との解釈もできるのだが。

大きく落ち込んだ雑誌のラインアップを再確認すると、「週刊新潮」「週刊アサヒ芸能」「週刊大衆」「週刊朝日」といった、男性向けの大衆誌、あるいはゴシップ系雑誌が多分に及ぶ。似通った内容に個性を出しにくくなってしまったのか、あるいは該当世代の趣向そのものに変化が生じているのかもしれない。

また、写真週刊誌的な色合いの強い3誌「FLASH」「FRIDAY」「AERA」の中では(部数データベースでは「AERA」は一般週刊誌扱いとなっている)「AERA」の下げ幅が著しい。質的な違いが部数に反映されたのか、あるいは方向性で受けの良し悪しが判断されたのか。上記のグラフの通り、抜本的な改革が成されない限り、今後も低迷(低下)は続くだろう。

今件はあくまでも「印刷」証明付き部数のため、デジタルコンテンツも並列配信している雑誌の場合、そちらに読者を奪われていることになるため、雑誌全体の勢いをそのまま反映するわけではないことに注意する必要がある。他方、紙媒体としての雑誌のすう勢には違いなく、縮退の中にあることもまた事実ではある。

■関連記事:

身近なお役立ち情報に特化した記事展開が評価か…ビジネス・マネー系雑誌部数動向

「ユーリ!!! on ICE」で小粒な特需…ゲーム・エンタメ系雑誌部数動向