すでに5割近く…小中高校生のネット利用端末はスマートフォンがダントツ
スマホが一番、携帯ゲーム機が続く
子供達のライフスタイルを大きく変化させているインターネット。アクセスに必要な機器は多種多様に及ぶが、どれほどの割合で利用されているのだろうか。内閣府が2017年3月に発表した「2016年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の結果から確認していく。
次に示すのは調査対象母集団における、該当機器でインターネットを利用している人の割合。調査票には該当機種で「インターネットを使っている」「その機器でインターネットを利用してサイトやコンテンツを見たり、文章を書き込んだりしている場合」と説明されており、頻度などの詳細は無い。回答者が「使っている」と判断する程度の利用状況が示された形となる。また該当機器を利用していても、それがインターネットと接続されていない状態であれば、回答には値しない。
全体ではスマートフォンによるインターネット利用がもっとも多く、47%。次いで携帯ゲーム機経由が22%、タブレット型端末経由が21%と続く。ノートパソコンはわずか2割足らず。デスクトップパソコンに至っては7%で、据置型ゲーム機よりも低い値。
小中高校生すべてを合わせた平均であることから、いくぶん均されている感はあるものの、子供達の間でもすでに「インターネットの窓口はスマートフォン」状態となっている実態が分かる。デジタル端末の操作系でキーボード利用に難儀する一方、タッチパネルなどの使いこなしに慣れる事例が増えているのも、結局のところそれらの機器を使う主用途であるインターネットの利用の際に使うツールが、スマートフォンメインであるからに他ならない。
学校種類別に実情を確認
これを小中高の学校種類別に仕切り分けした結果が次のグラフ。デジタル機器の利用状況(インターネット利用の是非は問わない)も併記する。
小学生ではインターネットへの窓口は携帯ゲーム機が最も多く、次いでタブレット型端末、スマートフォンが続く。ところがすでに中学生の時点でスマートフォンが最高値を示すようになり、タブレット型端末、携帯ゲーム機が続く。ノートパソコンは小学生と比べて回答率は増えているが、それでもスマートフォンの急速な伸びにはかなわない。
そして高校生。圧倒的回答率でスマートフォンがトップにつく。高校生のおよそ90%はスマートフォンでインターネットを利用している計算になる。ノートパソコンによるネットアクセスは23%、デスクトップパソコンは9%でしかない。スマートフォンそのものの普及利用率にも多分に、そしてそれは保護者側の判断に左右されるところではあるが、小中高校生にとってスマートフォンはインターネット利用のための必須アイテム的な存在となりつつある。
単純な利用率と比較すると、スマートフォンやタブレット型端末、パソコンは利用率とインターネット利用率に大きな差が無い。それらの端末がインターネットアクセス用端末として認識され利用されていることが分かる。一方で従来型携帯電話や「その他」に該当する端末は差異が大きい。「その他」はそれぞれの本来の機能、ゲーム機やテレビとしての使われ方をしている事例が多分にあることが分かる。また従来型携帯電話は、子供向けの場合は保護者に止められている、それ以外では解約をした上でデジカメ的、あるいは音楽再生端末的な形で利用されているのだろう。
高校生に限ればインターネット利用のためのツールはスマホ9割、ノートパソコンが2割強、デスクトップパソコン・タブレット型端末・携帯音楽プレイヤー・携帯ゲーム機・据え置き型ゲーム機がほぼ1割前後で横並びとなる。パソコンのみを単純に積み上げ試算しても4割には届かない。授業などではキーボードを用いる機会は得られるだろうが、高校生自身はその多くがキーボードを使う端末を「インターネットを使っている」との認識対象とはしていない。
「若年層のキーボード離れ」がネットスラング的に語られているが、高校生の現状を見るに、あながち的外れではない感は否めない。
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※2016年度青少年のインターネット利用環境実態調査
2016年11月5日から12月11日にかけ満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3284人(うちウェブ経由は108人)、保護者は3541人(うちウェブ経由は55人、郵送回収法は34人)。