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小中高校生はいつごろ趣味や娯楽でネットを使っているのだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 時間があれば布団の中でもネットへアクセス

インターネットが社会全体への浸透を進める中で、当然未成年者も触れる機会は増え、娯楽や趣味のツールとして多用するようになる。小中高校生はどれだけの時間を趣味のネット利用に費やしているのだろうか。NHK放送文化研究所が2016年2月から3月にかけて公開した、2015年国民生活時間調査の報告書を元に確認していく。

今件で対象とするのは「趣味・娯楽・教養を目的としたインターネットの利用」。具体的には「ホームページ・ブログを見る、作成する」「掲示板やSNSを見る、書き込む」「動画を見る」「ネットオークション・オンラインゲームをする」が該当する。仕事や学業、家事目的のネット利用は該当しない(それぞれそれらの行動として別途計上される)。また電子メールの読み書き、インターネットを用いた家族・友人・知人とのやり取りは「会話・交際」として仕切り分けされている。

他方行為に用いる機器の制限は特にないため、パソコンだけでなく従来型携帯電話やスマートフォン、タブレット型端末、インターネットテレビ、ゲーム機なども該当する。

次に示すのは平日時のインターネット行為者率。上がやや不自然に空いているが、これは日曜のグラフと縦軸の仕切りを合わせ、比較が容易にできるようにするため。

↑ 趣味・娯楽・教養のインターネット行為者率(平日、在学学校種類別、2015年)
↑ 趣味・娯楽・教養のインターネット行為者率(平日、在学学校種類別、2015年)

深夜帯では小学生はほぼ全員が寝ているためゼロ軸からずっと動かないが、中高生は一部値を計上しており、平日から深夜ゼロ時以降でも起きて趣味などのインターネット利用をしているのが分かる。そして早朝から利用し始めるのも高校生が最初。高校生に限れば午前5時過ぎに小規模なピークが起き、朝食前に第2のピークが起きているのが興味深い。部活動などで早く出る人が利用しているのだろうか。

日中はほとんどゼロ界隈にある。就学中だから当然だが、高校生はいくぶん高め。学校に持ち込んだスマートフォンを休み時間に利用している状況を回答しているのかもしれない。夕方を過ぎると次第に利用率は高まるが、夕方以降は夕食時まで小中高で大きな差異は無く、夕食後の行動で差がつく形となっている。小学生は夕食後の時間帯では一番最初に行為者率が減り、中学生は23時近くまで高めの値を示し続け、その後失速。ところが高校生は夕食後も値を落とさず(=利用を継続し)、値が下落し始めるのは23時半過ぎ。平日からネットを使う高校生は、この時間帯まで継続しているケースが多い。

とはいえ最高値でも10%強。「会話・交際」が含まれていないとはいえ、やや少なめの感はある。もちろん小学生、そして中学生も一部では、そもそもインターネットを利用できる環境が無い場合も多分に考えられるのだが。

↑ 趣味・娯楽・教養のインターネット行為者率(日曜、在学学校種類別、2015年)
↑ 趣味・娯楽・教養のインターネット行為者率(日曜、在学学校種類別、2015年)

小中学生では深夜帯はゼロ更新だが、高校生は数%の値を維持している。中には早起きをしている人も計上されているだろうが、少なからず人が徹夜、あるいはそれに近い形でインターネットを利用している。これは土曜の夜からの継続の動きで、日曜は寝坊しても遅刻することはないための夜更かしに違いない。

平日に見受けられた朝食時のピークの類は見当たらず、じわりと上昇する一方(高校生が一時下落するのは、徹夜組が床に就くからだろう)。お昼時は利用率がやや減るが、中学生は午後に入ると安定した値動きを示す。他方小学生と高校生は夕食時前後に一時減るが、それ以外では高めの値。もっとも小学生は寝るのが早いため、夕食後のピークはすぐに過ぎ去り、値は急降下。

中学生は翌日平日であることから、夜間の下落は早め。しかし高校生は深夜ゼロ時に至っても10%近い利用率を維持している。平日のグラフの動きは月曜から金曜までの平均値で、月曜がどのような形を示しているかまでは分からないが、恐らくは平日の平均値よりも夜更かしによるネットアクセス組が多いものと思われる。当然、月曜の朝は寝起きが辛いものとなるだろう。

今調査は生活様式全般の動向を精査するのが目的で、インターネットの利用はその一要素でしかない。電子メールを使っていても「会話・交際」に区分されてしまうなど、インターネット界隈に限った動向を知るのには、少々惜しい、物足りない部分もある。

しかし今件だけでも十分以上に、累計時間はともかく各時間帯の利用状況が把握しにくい小中高校生のネット事情を掌握することはできよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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