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公衆電話総数は18.4万台にまで減少

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 見かける機会の少なくなった公衆電話。テレカの存在を知らない人もいるとの話

昨今ではその姿を見かける機会も減り、テレホンカードの存在を知らない人も増えている公衆電話。その現状などを総務省が2015年7月に発表した情報通信白書などから確認していく。

「公衆電話」は一部が電話ボックスに収められる形で、あるいは専用の台座の上に置かれる形で配され、誰もが有料で利用できるインフラとして提供されている。また最近では公共の場にまとまった形で設置され、身近な情報交換手段として用意されている。他には緊急時に救急車や警察を呼ぶための拠点としての存在意義もある。

電気通信事業法施行規則によれば、公衆電話は社会生活上の安全及び戸外での最低限の通信手段を確保する観点により、市街地(国政調査結果による人口集中地区)では500メートル四方に1台、それ以外の地域(世帯や事業所が存在する地域)では1キロ四方に1台は設置することが求められている(電気通信事業法施行規則:第十四条のニ)。

しかし「いつでもどこでも電話が使える」公衆電話の役割は、携帯電話の普及と共にその立場を奪われる形となり、需要・利用率も漸減。利用率の低下は売上の低下につながり、採算が合わなくなる対象も増加。結果として設置台数も減らされつつある。

2015年3月末時点における日本国内の公衆電話総数は18万3655台。去年の19万5514台からさらに約1.2万台・6.1%の減少。前世紀末の73.6万台からは約1/4にまで減っている。

↑ NTT東・西日本における公衆電話設置構成比推移(~2015年3月末)
↑ NTT東・西日本における公衆電話設置構成比推移(~2015年3月末)

この減少は携帯電話の普及に伴うもの。今後携帯電話の普及率がさらに上昇し、幅広い世代に浸透するにつれ、公衆電話の必要性はますます低くなり、採算性の問題もあり、台数が減っていくことは容易に想像ができる。

この状況について総務省の報告書などによれば「高齢者の利用度が高い」「緊急時において必要となる」「ユニバーサルサービス制度によって(赤字でも)維持が義務付けられている」などの理由もあり、「減少傾向は避けられないが、最低限必要数は維持される」ことが確約されていると説明されている(上の「電気通信事業法施行規則」もその裏付け)。

このうち「緊急時において必要となる」に関しては、2011年の東日本大地震・震災の際に、他の通信インフラが途絶した状態の中、公的機関などに設置・開放された公衆電話を使い身内や知り合いと連絡を取り、肌身を持って実感した人も少なくない。これはNTTが設置する公衆電話は、発信規制や接続規制が行われた際にも優先して通信が行なえる「優先電話」と同様の扱いを受けているためである。

↑ 優先電話の仕組み(総務省解説ページから抜粋)
↑ 優先電話の仕組み(総務省解説ページから抜粋)

今後は「インフラとして必要な公衆電話数の適切数」の再検討、さらには「緊急時の保険的通信手段としての役割」が再確認された上で、公衆電話の管理維持が求められよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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