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とても気になる高校生のアルバイトと携帯電話保有率、そして勉強時間との関係

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 高校生を対象にしたアルバイト募集は多い。しかし……

上下間のある環境での就労、就業対価を得る喜びの経験など、高校生時代におけるアルバイトの経験は本人にとって多様なプラス要素が挙げられる。しかし時間の拘束や作業による疲労などで本業となる学業などに大きな影響を与えるのではないかと心配する保護者も皆無では無い。今回は少年教育振興機構が2014年6月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書の結果から、高校2年生のアルバイト経験の有無と、幾つかの事象との相関関係について確認をしていくことにする。

今調査の限りでは、高校2年生におけるアルバイト経験率は直近の2012年度でおよそ3割。男女別では女子の方が高い経験率を有する。またここ数年に限ればアルバイト経験率は漸減する傾向にある。

↑ アルバイトをしたことがあるか(高校2年生)(男女別)(「ある」回答率)
↑ アルバイトをしたことがあるか(高校2年生)(男女別)(「ある」回答率)

このアルバイト経験率に関して、まずは携帯電話(従来型、スマートフォン双方)の所有動向との間の相関関係を見ていく。

↑ アルバイトをしたことがあるか(高校2年生)(2012年度、自分用の携帯電話を持っているか否か別)
↑ アルバイトをしたことがあるか(高校2年生)(2012年度、自分用の携帯電話を持っているか否か別)

携帯電話を持っている人は3割、持っていない人は2割強がアルバイト経験を有している。携帯電話を持つ高校生の方が、アルバイト経験率は高い。携帯電話の利用で発生する電話料金などが全額保護者負担ならばともかく、一部は自分の稼ぎで負担する教育方針の家庭があることを考えると、携帯電話所有者の方がアルバイト経験率が高いのは納得がいく。さらにはゲーム内課金で負担となる料金をカバーするために、アルバイトに励む高校生もいるだろう(ちなみに家計消費状況調査によれば、直近となる2014年第3四半期における成人一人暮らしの平均携帯電話使用料は4652円/月となっている)。

もう一つ、恐らくこちらの方が気になる親は多いであろう、勉強時間との関係。

↑ 学校の授業や学習塾以外に勉強すること(高校2年生、2012年度、アルバイトの経験の有無別)
↑ 学校の授業や学習塾以外に勉強すること(高校2年生、2012年度、アルバイトの経験の有無別)

アルバイトをすればプライベートな時間は減る。1日は24時間しかなく、学校などに通う時間にも変わりはないため、当然の話ではある。差し引きすれば必然的に、学校や塾以外の自主的な勉強の機会が減る。アルバイト経験がある人は半数が自主的勉強時間はゼロ、1時間未満は3割強。アルバイト経験が無いと、ゼロは3割足らず、1時間未満は3割強。ゼロの部分だけを見ても、明らかにアルバイトをしていると自主的勉強時間が減ってしまうことになる。

繰り返しになるが、今件は相関関係を示すものの、因果関係までも説明するものではない。設問中に「携帯料金のためにアルバイトをしている」「アルバイトで忙しいので勉強に時間が割けない」などは無い。しかし一定部分はそのような因果関係の結果としてこれらの数字が出ていることは、容易に想像できよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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