電話の通話時間と回数は減っているのか増えているのか
通話回数はざっくり減少中
スマートフォンなど携帯電話は普及しつつあるが、同時に意志疎通手段としてはメールやソーシャルメディアが浸透し、電話本来の機能である通話は廃れる傾向にあるとの話も聞く。その実情を総務省の定点観測的調査データ「通信量からみた我が国の音声通信利用状況」から確認していく。
今調査結果によれば、2013年度における、日本国内の通話通信回数は総数で990億4000万回。前年度の1038億9000万回から4.7%の減少となる。
各様態区分別ではIP電話が唯一前年度比プラスを維持し、直近でもプラス9.1%を記録している。他方、固定系発信はマイナス8.1%、そして携帯電話・PHS系もマイナス5.8%と、減少傾向を示している。携帯電話における通話の減退ぶりはこの2、3年の動きで、それまではむしろ増加傾向にあった。
この携帯電話の動きは気になるところだが、これは通話回数全体の減少と同じ理由で、電話によるコミュニケーション手段が、音声通話からデジタル(電子メールやチャット、ソーシャルメディア経由)にシフトしつつあるのが要因と考えられる。携帯電話・PHSに含まれるPHSは今なお契約数を順調に伸ばしているものの、携帯電話の通話利用減退をカバーするまでには至らない。携帯電話も契約数そのものは増加の一途にあるが、それに反して「携帯電話全体でも」通話利用量は漸減を続けている。
知人の間はもちろん親子でも手持ちのモバイル端末で、音声通話では無くデジタルを用いた意志疎通に重点が置かれるようになりつつある。携帯電話は今や「携帯情報端末」であり、従来メインのはずの「電話」機能は「必要不可欠に違いないものの、最多利用機能ではない」存在となりつつある。
通話時間も漸次減少中
通話回数だけでなく、通話時間も減りつつある。日本国内の「音声通話」総通信時間は35億4900万時間となり、前年度比で6.2%の減少。様態区分別ではIP電話のみ増加し、固定系や携帯電話・PHSが減少している。固定電話は久々に前年度比の下げ幅が1ケタ%台にとどまったものの、携帯電話・PHの下げ幅は拡大しており、全般的に「電話による通話」そのものへの手控え感が進んでいる。
各様態区分別で唯一プラスを示したIP電話は、契約数を大きく伸ばしているのがプラスの要因。携帯電話・PHSでは携帯電話もPHSも契約数自身は増加しているにも関わらず、総通話時間が減少している。このことに不思議さを覚えるかもしれない。
これは通話時間全体の減少に加え、電話によるコミュニケーション手段が、音声からデジタル(電子メールやチャット、ソーシャルメディアなど)にシフトしつつあるのが原因。PHSは数年前の発表データから携帯とまとめてカウントするようになったため表向きの動向がつかめにくくなってしまったが、回線そのものは非常に堅調な増加傾向を続けている。しかしそれをもってしてもなお、携帯電話・PHSを合わせた通話時間はマイナスを示している。
LINEのように音声通話もできるチャットアプリが汎用化するにつれ、そしてそれを実装できるスマートフォンの普及と共に、電話における通話は時間も回数もますます減少していくに違いない。
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