2017年総選挙 各党の科学・技術政策は?

あくまで政策をみていこう(ペイレスイメージズ/アフロ)

総選挙公示、科学・技術政策は?

 第48回衆議院議員総選挙が公示された。新党結成など、政局に注目が集まるが、各党の政策をしっかりみていきたいものだ。

 本稿では、科学・技術政策、研究に関わる政策に関して、各党の公約を比較する。科学(基礎科学)政策と、技術政策は異なるし、原子力政策、エネルギー政策、環境政策、災害対策などは重要課題であるが、本稿では科学(基礎科学)を中心に、研究者支援策などを取り上げたい。高等教育(大学政策)は科学・技術と密接なかかわりがあるが、必要な場合は取り上げる。

 本稿は情報が入り次第随時更新する。

 過去の公約比較は以下。

 比較する政策は以下の通り。

与党

野党

 自由党、新党大地は公約を見つけられなかった。

科学・技術、研究に関する記載があるか

 まず、政策で科学・技術、研究などに触れているかをみてみたい。

触れている:自民党、公明党、希望の党、日本共産党、日本維新の会、社会民主党、日本のこころ、幸福実現党

触れていない:立憲民主党(エネルギー政策に関する記載はあり)

 以上より、何らかの形で科学・技術、研究などに関する政策がある政党をみてみたい。

各党の政策

自民党

ロボット・IoT・人工知能(AI)といった生産性を劇的に押し上げる最先端のイノベーションを起こし、「生産性革命」を実現します。

人手不足や高齢化を補うために、ロボット・IoT・人工知能(AI)など、企業の生産性を飛躍的に高める投資を推進します。特に生産性の低い業種や、中堅企業・中小企業・小規模事業者に対しては集中的に支援します。

自動走行、健康・医療・介護、生産性の向上を始めとする、第4次産業革命のイノベーションの社会実装を加速します。革新的なビジネスモデルと新たな産業群を創出するとともに、社会課題の解決にも繋げます。

意欲と能力のある子供たちが経済的理由により専修学校や大学への進学を諦めることのないよう、授業料の減免措置の拡充や給付型奨学金の支給額を大幅に増やすことで、真に支援が必要な所得の低い家庭の子供に限って高等教育の無償化を実現します。併せて徹底的な大学改革に取り組みます。

第4次産業革命のイノベーションをあらゆる産業や生活に取り入れて「Society 5.0」を実現すべく、成長戦略(「未来投資戦略2017」)を確実に実行します。

世界最速・最高品質の審査体制の実現、地方と中小・ベンチャー企業の知財活用促進、知財など無形資産の適切な評価、第4次産業革命を加速する著作権制度の早期実現など知財システムの整備、知財創造教育の充実等の知的財産・標準化戦略を成長の基盤として推進し、世界最高の知財立国を目指します。

「科学技術は国力に直結する」との考えのもと、「世界で一番イノベーションに適した国」を目指し、「第5期科学技術基本計画」に基づき、「Society5.0」の実現に向けた科学技術イノベーションの活性化を官民挙げて推進するとともに、5年間総額26兆円の政府研究開発投資を目指します。

● 世界最高水準の研究拠点の形成や人材の育成・確保を行います。また、人工知能、材料、光・量子などの先端的な研究開発を支援し、産学官共創システムを構築します。

● iPS細胞などの健康・医療や、防災・減災、省エネ及び核融合、H3ロケットなどの宇宙航空、海洋・極域の各分野、もんじゅの廃炉を含めた安全確保対策や、原子力分野の研究開発を推進します。

● G空間社会の実現に向け、共通情報基盤であるG空間情報センターの利活用を促進し、来年度の準天頂衛星4機体制による運用を見据え、防災・農業・交通等の様々な分野での新産業・新サービスの具体化を推進します。

● 新たな産業フロンティアとして国際争奪競争になっている宇宙分野において、高精度測位を可能とする準天頂衛星システムや衛星データのオープン&フリー化やデータセンターの整備、ベンチャー支援などにより、宇宙産業の倍増を目指します。

地方大学の振興や地方の若者の雇用機会創出等に取り組むため、産官学連携の下、地域の中核的な産業振興とその専門人材育成等を行う優れた取組を支援します。また、地方における地元企業等に就職した者に対する奨学金支援制度を促進します。

「第4次産業革命」(IoT・ビッグデータ・AI)の社会実装、先端的技術による「医療・介護革命」を進め、シェアリングエコノミー等を活用した新しい豊かな地方のくらしを実現します。

公明党

第4次産業革命に対応する研究開発投資やICT、自動走行など先進技術を活用した社会課題の解決、生産性の向上など「成長戦略」を加速化します。

大学など高等教育機関について、グローバル化、地域再生・活性化への対応、イノベーション創出機能の強化、女性・若手・外国人研究者の活用拡大等に向けた改革を推進します。これらの改革を進める国立大学に対し、その機能強化を加速するため、基盤的経費である国立大学運営費交付金を充実するなど、積極的に支援します。合わせて教育研究の基盤となる施設・設備の整備を計画的に推進します。

第4次産業革命に対応するため、IoT、AI、ビッグデータなど重点分野の研究開発を官民挙げて推進し、2020年度までに研究開発投資の対GDP比4%以上をめざします。

わが国の町工場が持つ世界トップレベルの技術力が支える航空・宇宙や海洋等の研究開発を推進し、中小企業・小規模事業者の力を最大限引き出します。

地方大学を活用した地方創生の新展開に向けて、産学官連携によるイノベーションの創出、地域の専門人材育成や産業振興を推進するための新たな交付金を創設します。

地域イノベーションの好循環を作り上げるため、政府関係の研究・研修機関等の地方移転を進めます。

新たな産業創出・社会変革をもたらす力強く伸びる日本経済へロボット、AI、ビッグデータ、IoT、サイバーセキュリティが、わが国の成長の重要な鍵であることを踏まえ、グローバルな研究拠点を形成するとともに、これらの未来につながる次世代の研究開発、基盤技術の開発を強力に進め、Society5.0の実現を図ります。また、全国の大学における研究や若手育成への支援を大幅に強化し、合わせて、これらを統合したプラットフォーム構築を進めます。

世界一安全な国をめざし、首都直下型地震、南海トラフ巨大地震などの大規模地震、水害、豪雨、土砂災害、火山災害などの自然災害に備えて、防災・減災対策に係るICT活用や研究開発を強化します。

希望の党

特区におけるサンドボックス制度(新技術を実証するための規制改革を行う「砂場」)の積極的活用、イノベーションハブの整備などにより、医療・バイオ、IT、IoT、フィンテックなど先端分野におけるイノベーションと起業を促進し、経済の自律的成長を目指す。

人工知能、ビッグデータ活用、サイバーセキュリティ対策等の分野で競争力を高めるため、専門人材の育成・獲得を図り、量子コンピュータなどの基盤技術開発を支援し、積極的に社会実験を進めていく。

遺伝子データ分析の飛躍的改善により、将来かかる可能性の高い病気を個人ごとに集中予防し、医療費を削減する。「フレイル」(疲れやすいなど体がストレスに弱くなっている状態)に早期対応できる体制を整備し、健康長寿を実現する。

日本共産党(詳細な記載があるので、項目のみピックアップ)

<大学の危機打開へ「学問の府」にふさわしい改革をすすめます>

1.大学の日常的運営に必要な経費(基盤的経費)の増額をはかり、じっくりと教育・研究できる大学へ条件整備をはかります

 国立大学の「類型化」をやめさせ、教育・研究をささえる基盤的経費を十分に確保します

 私立大学への「公費負担」原則を確立し、「経常費の2分の1助成」を実現する

 公立大学への国の財政支援を強める

 21世紀の日本を担う豊かな社会人へと成長できる大学教育に

 国が各大学の改革を誘導する資金を廃止し、独立した配分機関を確立する

 年俸制や任期制の導入に歯止めをかける

 有期雇用の5年経過後の無期転換を促進する

 大学職員を増員し、教育・研究・診療への支援体制を充実させる

 留学生に魅力ある環境を整備する

 国立大学附属病院の基盤整備をすすめ、債務の軽減をはかる

2.大学でお金の心配なく学びたい、将来に希望をもってじっくり研究したい。この願いを実現します

 国公立も、私学も、10年間で授業料を半減する

 “学生ローン”でなく、まともな奨学金に。月額3万円(年間36万円)の給付奨学金を70万人に

 大学・研究機関の人件費支出を増やし、若手研究者の採用をひろげる

 博士が能力をいかし活躍できる多様な場を社会にひろげる

 若手研究者の待遇改善をはかる

 専業非常勤講師の処遇を抜本的に改善する

3.大学の「生命」といえる“自治と民主主義”を保障するルールを確立します

 「日の丸」「君が代」の押しつけなど、政府による大学への干渉をやめさせる

 「大学の自治」を尊重するルールを確立する

 「大学改革実行プラン」「国立大学経営力戦略」を中止し、国民の立場にたった大学改革プランを確立する

 国公立大学の一方的な統合に反対する

 国立大学法人制度を抜本的に見直す

 私立大学の公共性と教育研究の質をさらに高めるため私立学校法の改正を含む改革をすすめる

4.大学への公費支出を欧米並みにひきあげます

<経済効率と軍事利用の科学技術政策から、非軍事・学術発展へ調和のとれた振興策に切り替えます>

1.基礎研究を重視し、科学、技術の調和のとれた発展と国民本位の利用をはかります

 人文・社会科学を含む科学・技術の総合的な振興計画を確立する

 軍学共同に反対、科学・技術の利用は非軍事と「公開、自主、民主」の原則で

 筑波研究学園都市の研究施設整備と宿舎の確保をはかります

2.公正で民主的な研究費配分を行い、研究における不正行為の根絶をはかります

 科学研究費補助金を大幅に増額し、配分の偏りを是正する

 過度の競争を是正し、研究における不正行為を根絶する―

3.産学連携の健全な発展をうながします

4.女性研究者の地位向上、研究条件の改善をはかります

日本維新の会

教育の無償化は国際的な流れ。AI(人工知能)分野の専門人材や、国際競争に打ち勝つ高度人材等を育成し、経済成長につなげます。

●モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ、ロボット、人工知能(AI)等の技術革新を生かせる競争環境を構築する。

●IoT、AI分野の普及・実用化を進めるため、世界共通のプラットフォームに積極的に参加。

●ビッグデータ活用に向けたプラットフォームの構築、データ流通市場の創生支援。

●自動車の自動走行実現を加速化。公道実験を進める。

ビッグデータの活用により、医療・健康分野の産業化・高度化を推進する。

臨床研究の不正が続発したことを受け、企業との癒着を排し、信頼回復と透明性、被験者の保護、研究の健全な発展へ法制度の整備を進める。

社民党

〇国立大学・高専運営交付金、私学助成費の減額方針を転換します。経常費補助について計画的な増額をはかります。科学研究費助成事業(科研費)を充実・強化します。

〇大学や研究機関における大規模な雇い止めを中止させ、研究支援を行う有期雇用事務職員、研究室秘書、研究補佐員の雇用の安定をはかります。

〇大学・学部等の設置認可の審査においては、「加計学園」問題で指摘されるような「えこひいき」の疑いが生じないように公正な運営につとめ、審査のプロセスの透明化をはかります。

幸福実現党

046 新しい成長フロンティアを開拓すべく、高付加価値の未来産業(航空・宇宙産業、防衛産業、ロボット産業、新エネルギー開発、バイオ・メディカル分野など)に対し、10年以内に100兆円を投資し、振興を図ります。

■資金の調達方法としては、国債を発行するほか、官民ファンドの創設による民間資金の活用、政策金融の強化を図ります。

■エンジェル投資税制、ベンチャー投資促進税制の拡充などにより、ベンチャー企業に対するバックアップ体制を増強します。

■ロボット開発を推進し、生産性向上とともに、人手不足の解消を図ります。

■北海道などを候補地として「空飛ぶ自動車」特区を設け、先進的な交通技術の開発・実用化を促進します。

047 科学技術の振興を図ります。

■未来産業の創出に向けて産学連携を促進するとともに、世界をリードする先端研究を実施する大学などへの支援を強化します。

■国際標準競争への参画推進を含め、IoT社会の到来に向けた環境整備に努めます。

048 日本の防衛力強化、および宇宙開発に伴って生じる技術・知識の波及効果の創出を念頭に、宇宙開発に積極的に取り組みます。

■有人宇宙飛行の早期実現を目指すとともに、宇宙ステーションの打ち上げ、次世代ロケット、宇宙船の開発および宇宙エレベーターの開発を推進します。

短評

 選挙期間中なので、講評は控えるが、多くの党がAI、IoT、ロボット、自動運転、医療(iPSなど)について触れている一方、基礎科学、研究者の労働環境などについて触れている党は少ない。

 上記の公約では科学・技術、研究に関する政策はつかめないので、今回も公開質問状を準備している。回答があり次第紹介したい。