独立リーグ界はトライアウト月間!日本海オセアンリーグのトライアウトは?
■日本海オセアンリーグ、1回目のトライアウト
今月に入り、独立リーグは各地でトライアウトを開催している。リーグ合同もあれば、球団単独もある。
11月3日は四国アイランドリーグplus(@東予運動公園野球場)やルートインBCリーグ(@明治安田生命グリーンランド野球場)、大分B-リングス(@フジシンの杜スタジアム)とともに、日本海オセアンリーグのトライアウトが行われた。
日本海オセアンリーグは2年目の来季に向けて、今年は2会場…この日の遊学館高校野球部グラウンド(石川県金沢市)と、6日のオセアンボールパークアリーナ厚木(神奈川県厚木市)での開催だ。
この日は投手18名、野手18名(1名は投打で受験)が人生を懸けて挑んだ。
午前中は野手からスタートした。まず、一塁駆け抜けと二塁まで(スタンディング)のベースランニングでタイムを計測。ベースの真ん中を上からがっつり踏む選手や、一二塁間を大きく膨らんで走る選手など、走塁を教わってきていないと見受けられる選手がかなりいたのが驚きだ。
次にキャッチボール、続いて守備だ。内外野に分かれて捕球、送球などつぶさにチェックが行われた。各球団の社長、代表、そして首脳陣は見る場所を変えながら、さまざまな角度から目を光らせていた。
そしてバッティング回りだ。捕手、内野手、外野手とポジション別に分かれてティーバッティング、フリーバッティング、打球捕を行った。その間、受付を済ませた投手たちはアップやキャッチボールで午後からのブルペン投球に備えていた。
ここまでで1次発表があり、野手数人は不合格となった。
そしてランチを挟んで、午後からは投手のブルペン投球で再開した。1人2分間の持ち時間が与えられ、2人ずつ同時にピッチングを披露。1球ずつスタッフが球速を計測して発表するので、それでノッていけた投手、逆に力んでしまった投手もいたかもしれない。
オーバースローだけでなくサイドやアンダーなど多種多様な投手たちが自身の持ち味を発揮したあと、ここでまた投手陣の1次発表だ。
4割近くの選手は遠路はるばるやって来て、わずか2分間のデモンストレーションで引き揚げねばならなかった。厳しい世界である。
2次は、1次を通過した投手と野手でシートバッティングが行われた。1投手につき打者4人との対戦だ。球団関係者たちはより厳しい視線で、その対決を見つめていた。
すべてが終了したあとは全員でグラウンド整備を行い、解散となった。
■4人の投手をピックアップ
ブルペンやシート打撃で目立った投手4人に話を聞いたので紹介しよう。
【井澤宇敬(いざわ たかひろ)】
1999年12月2日生(23歳)
180cm・85kg/右投左打
水口東高―滋賀大
*ブルペンで自己最速の149キロを連発し、目を引いていた。
「これまでの最速は147キロだったので、更新できたのでよかった。でも、ブルペンはよかったけど、シートバッティングがストライクをとりにいく投球になってしまった。もう少しを腕を振って投げられたらよかった。ある程度はアピールできたかなとは思うけど。
大学入学当初は120キロちょっとしか出なかったけど、ウエイトトレーニングや食事などいろいろして147キロまで出るようになった。食事はタンパク質をしっかり摂って、1日に6食食べるようにしている。
去年まではただ思いきり投げるだけのフォームだったのが、今年の夏くらいから力を抜いてバランスよく投げることを意識するようになり、それからバラつきも少なくなって試合を壊すことがなくなった。
滋賀県の出身で、オセアンは滋賀県での試合開催も多いので、母親に投げる姿を見せてあげられると思い、受験した。できればNPBに行けたらと思う」
【井関大虎(いせき だいご)】
1998年5月7日生(24歳)
181cm・85kg/右投右打
敬新高―奈良学園大―IMF BANDITS富山
*シート打撃での登板で4人の打者すべてから三振を奪った。この日の最速は145キロ(自己最速149キロ)。ブルペン以上に実戦形式で際立った。
「しっかり自分の特徴、いい部分をちゃんと表すことができたかなと思う。三振が取れるというのが自分の持ち味。ゾーンに強いボールというのを意識している。自分的には打者が立ってるのと立っていないのではどうしてもズレが出ちゃうので、やっぱり実戦(形式)のほうがいい。
今年、巨人のプロテストの最終で落ちてしまい、プロに一番近いのはどこかなと考えて独立を受験しようと決めた。
ここ一番でしっかり抑えられるピッチャー、信頼されてどういう場面でも送り出してもらえるようなピッチャー、気持ちを常に前面に出して投げられるピッチャーになりたいと思っている。
精神面では斉藤和巳投手や則本昂大投手のような気持ちを前面に出すピッチャー、能力的には藤川球児投手みたいなここ一番で三振が取れてチームが救えるピッチャー。そういうのが目標」
【加賀見一輝(かがみ かずき)】
2000年5月31日生(22歳)
170cm・64kg/右投右打
添上高―阪南大
*小柄ながら投げっぷりのよさが光っていた。大学2年秋のリーグ戦で防御率0.61(ベストナイン受賞)。
「ストレートでどんどん押していってというピッチングが自分の持ち味なので、それができたのでよかった。ブルペンでの数字は思ったより出ていなかったけど…(この日の最速は142キロ。自己最速は148キロ)。
今日はまっすぐで押していくところを見てもらおうと思っていたので、変化球は少なめで決め球くらいっていう感じで投げた。使ったのはスライダーとスプリット。
大学4年間では先発、中、抑え、全部やった。やはりストレートに自信があるので、ストレートで押して三振が取れるピッチャーになりたいと思っている。先発、中継ぎ問わず三振が取れるピッチャーを目指している。
中日の浅尾拓也選手(現 投手コーチ)が一番好きで、ああいうストレートで押して、最後は落としてっていうのが憧れなので、そういう選手になりたいと思っている。
まだ体が小さいので、もっと大きくしてスピードも150キロを超えたいと思う」
【佐々木元志(ささき げんじ)】
1999年5月22日生(23歳)
188cm・92kg/右投右打
中京大中京高―松陰大―北九州フェニックス―信濃グランセローズ
*恵まれた体から重そうなボールを放っていた。受けた大上真人捕手(富山GRNサンダーバーズ)も手応えを感じたという。
「身長もあるので、短いイニングだと球速も出る。MAXは150キロ(この日の最速は142キロだった)。スライダーにも自信があって、まっすぐかスライダーで三振が取れる。三振を取る能力があると思う。
去年、指名漏れしたときに『1年でNPBに行こう』と独立リーグを選んだ。北九州に入って試合でも投げさせてもらっていたけど、色々あって7月頭くらいに辞めた。
信濃では練習生でいい結果も出せず、来年は24の年なのでシーズン初めから新しいチームで結果を出してNPBに行くため、オセアンのトライアウトを受けることにした。
NPBに行きたいというのは幼少期からの夢だったし、母親だけなので、母に恩返しがしたくて。
オセアンを選んだのは、NPBとの交流戦が多いイメージがあって、それでまぁいいなっていうのと、オセアンにけっこう先輩もいて、それでオセアンいいんじゃないかなっていうので。
大学では1試合目に先発して3試合目は中に入ったりしていた。
抑えとかやって、まっすぐで押して変化球で落として三振を取るっていうのが目指すスタイル」
■2回目のトライアウト終了後にドラフト会議
明日6日の関東会場でのトライアウト終了後にドラフト会議が開かれ、各選手の運命が決まる。
はたしてオセアンリーガーとしてユニフォームを着ることができるのか。結果が待たれる。
(撮影はすべて筆者)