■阪神タイガースジュニアの、これまでの戦績

 今年も暮れに開催される「NPB12球団ジュニアトーナメント」。プロ野球12球団がそれぞれ小学5、6年生16人でジュニアチームを結成し、トーナメントで日本一を目指して戦う大会だ。(詳細⇒ジュニアトーナメント

 2005年に始まったこの大会で、阪神タイガースジュニアはその年の初戦に勝って以来、2015年まで通算3勝しかできなかった。2016年に初めて決勝トーナメントに進出して準優勝に輝き、翌年も同じく準優勝に終わった。そして2018年から昨年まで3年は初戦に敗れ、いずれも1勝1敗で決勝トーナメントには進めていない。

 初年度から昨年までのタイガースジュニアの戦績はご覧のとおりだ。(*は監督)

2005年 *石井晶

①ベイスターズJr. 2-9 〇

②スワローズJr. 1-4 ●

*グループリーグ敗退

2006年 *永尾泰憲

①スワローズJr. 16-0 ●(五回コールド)

②ベイスターズJr. 0-12 ●(五回コールド)

*グループリーグ敗退

2007年 *中田良弘

①ベイスターズJr. 7-6 ●(大会規定により六回打ち切り)

②ドラゴンズJr. 3-8 ●(大会規定により四回打ち切り)

*グループリーグ敗退

2008年 *石井晶

①ベイスターズJr. 0-7 ●(六回コールド)

②カープJr. 4-1 ●

*グループリーグ敗退

2009年 *石井晶

①ドラゴンズJr. 0-8 ●(五回コールド)

②ベイスターズJr. 0-0 △

*グループリーグ敗退

2010年 *大熊忠義

①ジャイアンツJr. 0-2 ●

②スワローズJr. 6-1 ●

*グループリーグ敗退

2011年 *亀山努

①ジャイアンツJr. 3-0 ●

②スワローズJr. 3-3 △

*グループリーグ敗退

2012年 *亀山努

①スワローズJr. 7-4 ●

②ベイスターズJr. 6-0 〇

*グループリーグ敗退

2013年 *亀山努

①ドラゴンズJr. 2-1 ●

②ジャイアンツJr. 2-5 ●(六回終了 時間切れコールド)

*グループリーグ敗退

2014年 *片岡篤史

①スワローズJr. 7-9 ●

②ジャイアンツJr. 13-1 ●(五回コールド)

*グループリーグ敗退

2015年 *片岡篤史

①バファローズJr. 6-2 〇

②イーグルスJr. 4-1 ●

*グループリーグ敗退

2016年(準優勝) *八木裕

①ライオンズJr. 7-2 〇

②スワローズJr. 0-1 〇

準決勝 ファイターズJr. 1-4 〇

決勝  ベイスターズJr. 6-4 ●

2017年(準優勝) *八木裕

①ジャイアンツJr. 5-4 〇(サヨナラ)

②スワローズJr. 2-3 〇

準決勝 ファイターズJr. 7-0 〇(五回コールド)

決勝  ドラゴンズJr. 1-0 ●(サヨナラ)

2018年 *八木裕

①イーグルスJr. 2-9 ●

②バファローズJr. 0-8 〇(五回コールド)

*グループリーグ敗退

2019年 *鶴直人

①ジャイアンツJr. 3-9 ●(六回時間切れコールド)

②ライオンズJr. 4-14 〇(五回コールド)

*予選トーナメント敗退

2020年 *白仁田寛和

①ドラゴンズJr. 9-2 ●(五回裏1死コールド)

②ベイスターズJr. 3-4 〇

*予選トーナメント敗退

ミーティングは超真剣
ミーティングは超真剣

■初戦は“伝統の一戦”

 今年の初戦の相手は読売ジャイアンツジュニアだ。プロ野球では“伝統の一戦”と称される。ジュニアといえどタテジマを身にまとう限り、負けるわけにはいかない。

 初戦に勝つと、次戦はオリックス・バファローズジュニア横浜DeNAベイスターズジュニアの勝者と戦う。得失点差も重要なので、失点は1点でも少なく得点はできるだけ多く取りたい。

 そして予選トーナメントを勝ち抜いた3チームに、ワイルドカードを加えた4チームで決勝トーナメントが繰り広げられる。

 さて、今年はどのような展開になるだろうか。

道具の整理整頓は上本博紀コーチの教えによるもの
道具の整理整頓は上本博紀コーチの教えによるもの

■4人体制の首脳陣

 今年のタイガースジュニアは2年連続の白仁田寛和監督に岩本輝投手コーチ(登録上はマネージャー)、野手コーチは4年連続の柴田講平コーチに新たに上本博紀コーチが加わり、4人体制で臨む。

 9月の結成からここまで指導してきた首脳陣は、どんな思いで本大会を迎えるのだろうか。

【白仁田寛和 監督】

 ほんとにこの子たちは野球が好きなんだなって思う(笑)。

 今年は熱意がよりすごいと感じる。たぶん無限に練習したいんじゃないかなっていうくらい、みんな「練習しようよ」ってどんどんくる感じ。

 ピッチャーはそろっている。ちゃんと投げられれば抑える力はあるんで、そこだけ。本大会で変に意識して変わってしまわないようにすれば大丈夫。ほんとピッチャーに頑張ってもらいたい。

 野手も守備はなかなかだと思う。二遊間がしっかりしているので。相手の足に焦ってか、たまにポロッというのがあるので、そういうのが減れば上にいける。やはり強いチームは、そういうのが少ない。

 「準備」のたいせつさは伝えてはいるけど、その準備がまだわかっていない子もいる。自分のことを知れてないというか…。「こういう準備をしないといけない」「こういうことをやっておけば大丈夫」ということが自分でわかれば。難しいところだけど。

 昨年の大会でも試合前に「たくさん汗をかけ」、「ウォーミングアップで心拍数を上げとけ」って言ってたけど、固くなったのか初戦に負けてしまった。今年はなんとか汗をかかせて動かしておきたい。

 初戦に負けるとシュンとなって、晩ごはんのときも静かで…(笑)。初戦、何としても勝ちたい。

 でもまぁ、とにかく最後まで笑顔で野球をやってほしい、それだけ。それができれば僕はもう満足。笑顔で(ベンチに)帰ってきてくれたら最高です。

ジュニアたちに優しい眼差しを送る白仁田寛和監督(写真提供:阪神タイガースジュニア2021保護者会)
ジュニアたちに優しい眼差しを送る白仁田寛和監督(写真提供:阪神タイガースジュニア2021保護者会)

【岩本輝 投手コーチ】

 投手陣はいろいろ個性のあるピッチャーが、いろいろなタイプのピッチャーがいるんで、おもしろいと思う。

 まず、自滅するようなピッチャーがいないので、そういう点ではやりやすい。本来の力を出してもらえれば…っていうところですね、僕が思うのは。

 いつもどおりやってもらえたらいい。そこまでいいピッチングをしようとか気負わずに、普段どおりやること。欲を出しすぎないように。

 ジュニアでは、これまでにはない経験をしてきていると思う。自チームではエースで、試合の最初から最後まで投げてる子ばっかりで、ピンチで代えられる経験なんてなかっただろうし、試合中のカバーリング(ベースカバー)とか、あまり意識したこともなかったと思う。最初のころは後ろのカバーとかわからなくて、ずっとマウンドで突っ立ってることも多かった。

 みんな、新しい発見があったんじゃないですかね。そういう中で対応してくれるようになってきた。

 大会では神宮も広いので、みんなでカバーし合わないといけない。

 こういうことは、これからすごく大事になってくるんで。中学、高校ではできて当たり前、動くのは当たり前になる。そういうのをジュニアで知れたんじゃないかな。ちょくちょく言うてますからね。

 昨年は苦い経験をした。(ベンチに)帰ってくるピッチャー、みんな泣いてたんで…。今年はなんとかいつもの力が出せるような雰囲気を、僕も作りたい。

打撃投手を務める岩本輝コーチ
打撃投手を務める岩本輝コーチ

【上本博紀 野手コーチ】

 技術的なことは、ほとんど言ってない。週に1回会うくらいで、あまり変に言っても…。どうしても気になるところとかは、ちょこちょこワンポイントで言うけど。基本的には、技術的なことはそんなに言うことはない。

 あ、でももちろん聞いてきたことには答えるけど。こっちから「こうしろ」「ああしろ」はあまり言っていない。

 走塁に関しては、もちろん走れるに越したことはない。これからの野球ですごく大事なんで。

 でも、教えるにしても段階があるから。こっちがプロを経験したからといって、頭ごなしに「野球」というものを言っても、相手は小学生なんで。そこは段階を追って順番に順番にと、今の時点でできることをと考えながらやってきた。

 いきなり(高いレベルのことを)言ってもパニックになるだけなんで、そこは気をつけながら…。

 中学校に入って1年生からすぐ出られるような子ばかりなんで、僕としたら、そこにすぐ入れるようにという気持ちで、ちょっとプロ野球寄りの野球というか、中学校に行って通用するような走塁だったり、守るポジショニングだったり、周りを見ることだったりは口うるさく言ってきた。

 そういうのを率先してできる子、人のポジショニングも言ってくれるような子とかは出てきてくれた。また、それをやろうとしてくれていることが大きいと思う。

 大会ではもう、思いきってやってほしい。緊張すると思うけど。

 そういう緊張するということも含めて経験なので、いろいろな経験をしてくれれば。勝つ勝たないよりも。

ジュニアたちとともに走り回った上本博紀コーチ
ジュニアたちとともに走り回った上本博紀コーチ

【柴田講平 野手コーチ】

 元々がレベルの高い子たち。でも何年間も一緒にやってるチームじゃなく即席チーム。足りないとしたらチーム力かな。

 これまでは「試合に出てナンボ」でやってきてる子たちだから、試合に出ていないときにも何か気づいて、チームメイトを助けることができるか。たとえば気づいた人がボールを拾って渡してあげるとか、声をかけるとか、そういうサポートを普段からできるかどうか。

 そういうのを知らずにきただろうし、そういうことに関しては、まだ疎いのかなというのがある。そこがもっとできてくれば…。

 そして、そういうのが試合にも出るから。自分のプレーでいっぱいいっぱいなときに、周りの声で助けられるとか、けっこうあるんで。まぁ、だんだんそういうのもできてきたのかなとは思う。

 でも本戦ではもっと必要になるから。そういうところが絶対に大事になってくる。

 ジュニアのコーチは4年連続だけど、過去3年、初戦に負けている。やはり初戦は難しい。

 僕らがやるわけじゃないんで、自分はこう思っていても子どもらがどういうふうに思っているかわからない。緊張するのはわかっているけど、いろいろ試行錯誤して対策をしても、そのようにはならない。どれが正解かもわからない。

 僕らも本戦で楽しくやるとか、集中してやるとか、モチベーションをどうやって上げられるか、それを一番に考えている。でも、こっちが気持ちを入れすぎて、いつも以上に声出したりすると子どもたちに緊張が伝わる。子どもは敏感なんで。いつもどおりに入るようにしたい。

甲子園球場でノックを打つ柴田講平コーチ
甲子園球場でノックを打つ柴田講平コーチ

■最高の笑顔で終わりたい

 結成して約4カ月。短い期間とはいえ、4人の首脳陣と16人のちびっこ虎戦士たちとは師弟の絆がしっかりと結ばれた。

 さらに中村泰広代表、福田信綱トレーナー兼マネージャー、村山信一マネージャー、そして保護者のみなさん。関わるすべての人々が一丸となって、12月28日からの「NPB12球団ジュニアトーナメント」の本大会に臨む。

 いい意味で緊張を味わいながら、いつもどおりの普段着野球をして、最後は最高の笑顔を見せてほしい。

(写真提供:タイガースJr.2021保護者会)*撮影時のみマスクを外しています
(写真提供:タイガースJr.2021保護者会)*撮影時のみマスクを外しています

(表記のない写真の撮影は筆者)

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