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ミートパイ専門店が3月16日東京ドームシティにオープン 多様な可能性を秘めた展望とは

千葉哲幸フードサービスジャーナリスト
南澤社長とスタッフのみなさん(筆者撮影)

3月16日、東京ドームシティにミートパイ専門店「BYRONBAY MEATPIE(バイロンベイミートパイ)」がオープンした。東京ドームシティでは現在大規模リニューアルが進められていて、同店はこれらの中の一つ「クリスタルアベニュー」の中にある。店舗はフードトレーラー(4坪)の形態で、8種類のミートパイとサイドメニュー、ドリンクをラインアップし、テークアウトとデリバリーで提供。東京ドーム内でのイベントを楽しみながらの食事需要や、店前の芝生、シティ内での軽食、そして近隣オフィスや住宅にデリバリーで届けるなど、多様な形態で「ミートパイ」を楽しむライフスタイルを広げていく。同店が描く展望から、新しい飲食の可能性が見えてくる。

8種類のミートパイとオリジナルのサイドメニュー(ミッション提供)
8種類のミートパイとオリジナルのサイドメニュー(ミッション提供)

オーストラリアのソウルフードをファストカジュアルで提供

「バイロンベイミートパイ」を運営するのは株式会社ミッション(本社/千葉県佐倉市、代表/南澤一輝)。同社がミートパイに取り組んだのは2018年5月から。佐倉市内にミートパイのセントラルキッチンをつくり、オンラインでミートパイを販売するようになった。こうして全国的にファンを獲得するようになった。

2023年4月、このキッチンに店舗をつなげて、ミートパイのファストカジュアル「バイロンベイミートパイ」をオープンした。ファストカジュアルとは、クオリティの高いフードをファストフードの形態で提供する店舗のことである。同社としては、ミートパイ文化を日本で定着させるべく着実に努力を重ねて、「オンライン販売」→「佐倉市内にリアル店舗オープン」→「東京ドームシティに出店」という具合に、6年を経て大きくステップアップした。

千葉県佐倉市内にあるファストカジュアル「バイロンベイミートパイ」の様子(筆者撮影)
千葉県佐倉市内にあるファストカジュアル「バイロンベイミートパイ」の様子(筆者撮影)

同社は17歳からサーファーとして活躍している南澤輝雄さん(65歳/現・ミッション相談役)がサーフショップ「Radix surf shop」を1983年11月千葉県佐倉市にオープンしたことで始まった。1992年1月「Justice surfboard」の ブランドを立ち上げて、日本発祥のサーフボードブランドとしては最も著名なものに育て上げた。

2000年に入り飲食業に参入。「音波(おとは)」という和食店を展開していく(現在は、船橋市内、千葉市内と2店舗)。ホルモン料理の「日本再生酒場」(千葉市内に1店舗)、そして「バイロンベイミートパイ」(佐倉市内に1店舗)と飲食のリアル店舗は4店舗を擁していた。

同社がミートパイを手掛けることになったのは、現・南澤相談役の活躍のステージである「サーフィン」がきっかけとなった。

ミートパイの店名となっている「バイロンベイ」はオーストラリアの最東端ニュー・サウス・ウエールズ州にあるビーチのことで「サーファーの聖地」とされている。南澤相談役はサーファーとしてバイロンベイの波と、現地のソウルフードであるミートパイに親しんでいた。そして、これからの事業展開を模索する過程で、オンラインのEコマースを想定するようになり、「ミートパイ」の製造・販売を決断した。それを開始したのが2018年5月のことである。

「サクサク」としたパイの中にさまざまな持ち味の具材を楽しむことが出来る(ミッション提供)
「サクサク」としたパイの中にさまざまな持ち味の具材を楽しむことが出来る(ミッション提供)

リアル店舗を構えたことで出店交渉のチャンスを得る

それが「リアル店舗のオープン」と「東京ドームシティに出店」につながったのは現・南澤社長(34歳)が、2024年1月に代表取締役社長に就任して以来のことである。

南澤社長は、学生時代のアルバイトから飲食業に親しんでいたということだが、学業と社会人スタートは飲食業とは別の理系の世界であった。

中央大学理工学部から東京工業大学の大学院に進み、NTTドコモに入社してR&D(研究開発)センターに入る。ここではビッグデータの研究を行っていた。

ここには2年強勤務。そして、2017年、27歳のときに父が創業した会社であるミッションに入社した。「私は一人っ子なので、社長を継ぐのは自然の流れと思っていたが、入社するのなら早いほうがいいと考えた」(南澤社長)という。

会社では経理を担当し、店舗のシフトを見ながら従業員として現場を手伝った。

コロナの中で「新しいことに取り組もう」と、事業再構築補助金によって、稼働していたミートパイのキッチンをつなげてミートパイのリアル店舗をつくることにした。そして同社創業の事業であるサーフショップと併設して、ファストカジュアルショップの営業をスタートした。「サーファーの聖地:バイロンベイ」と「オーストラリアのソウルフード:ミートパイ」という、絶妙なカップリングとなった。リアル店舗がオープンしたことで、オンラインで注文が増えるようになった。

東京ドームシティでの出店も、このリアル店舗がきっかけとなった。発端は、同社の飲食業の一つ「音波」を船橋駅の商業施設にリーシングする案件をもらったこと。しかしながら、この物件は「音波」にとっては規模が大きく、ランチ主体の営業となるために「音波」の出店を見送ることにした。

そのご縁をもらったリーシング業者を、ミートパイのリアル店舗に招いて「ミートパイ」という新しい商売の可能性を秘めた商品を体験してもらった。このリーシング業者は東京ドームのリニューアル案件にも関係していて、この商品の存在を東京ドームシティの担当者につないでくれた。

ミッション側では「これは大きなチャンス」と前向きに取り組み、担当者との面談からプレゼンへととんとん拍子に進み、東京ドームシティに出店できることになった。

多様な客層に親しんでもらい知名度向上を図る

「バイロンベイミートパイ」の商品は千葉県佐倉市にあるミートパイ専用のキッチンで製造したものを冷凍状態で東京ドームに配送して、店舗で解凍し熱々の状態で提供する。ミートパイのレシピはミッションのシェフがミートパイの本場であるオーストラリアに研究に赴き、現地で愛される「ミートパイ」のレシピと製造方法を習熟し日本で再現している。東京ドームシティの店舗で販売しているミートパイは、こちらの8種類で、どちらも単品500円(税込、以下同)。

「クラシックミートパイ」

「ポルチーニチキンパイ」

「シュリンプアメリケーヌパイ」

「バターチキンカレーパイ」

「ビーフラグーパイ」

「クランブルアップルパイ」

「メキシカンチョリソーパイ」

「ペパロニチーズパイ」

メインディッシュからデザートの感覚で食べられるものまでバラエティが充実している(ミッション提供)
メインディッシュからデザートの感覚で食べられるものまでバラエティが充実している(ミッション提供)

セットメニューは、①「パイ1つ・ドリンク」650円(サイドメニュー1つ追加:+300円)、②「パイ2つ・ドリンク」1080円(サイドメニュー1つ追加:+300円)となっている。

テークアウトとデリバリーでさまざまなライフスタイルに対応する(ミッション提供)
テークアウトとデリバリーでさまざまなライフスタイルに対応する(ミッション提供)

オープン初日の3月16日は気温が22度と春到来の陽気であった。土曜日ということもあり東京ドームシティはグループ、カップル、家族連れなどさまざまな人出でにぎわっていた。バイロンベイミートパイでは行列が絶えず、店舗のデッキに設けられた客席では、昔から親しんでいるフードのようにミートパイを食していた。

オープン初日は春到来の陽気の中でさまざまな客層がミートパイを求めていた(筆者撮影)
オープン初日は春到来の陽気の中でさまざまな客層がミートパイを求めていた(筆者撮影)

南澤社長は、同社における「バイロンベイミートパイ事業」を東京ドームシティ出店から知名度の向上を図り、ミートパイにオーストラリアワイン、オーストラリアクラフトビールなどを合わせたカフェ、バルなどの多様な店舗展開につなげていきたいと、ビジョンを描いている。

フードサービスジャーナリスト

柴田書店『月刊食堂』、商業界『飲食店経営』とライバル誌それぞれの編集長を歴任。外食記者歴三十数年。フードサービス業の取材・執筆、講演、書籍編集などを行う。

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