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ホークスベースボールパーク筑後に大分B-リングス参上。大砲リチャードに相まみえる【九州アジアリーグ】

阿佐智ベースボールジャーナリスト
初回タイムリーツーベースを放ったリチャード(ソフトバンク)

 先週末、福岡県筑後市にあるソフトバンクホークスのファーム施設、ホークスベースボールパーク筑後は大変な賑わいを見せた。2016年に完成したこの施設は、主に二軍の試合が行われるメインスタジアム、サブフィールド、室内練習場、クラブハウス、選手寮を備えた巨大なもので、世界でもトップクラスのプロスポーツの育成施設である。ホークスはファーム組織を拡大し、今シーズンからは四軍も活動をスタートさせたこともあり、この施設はフル稼働状態になっている。6月17、18日の両日は、メイン球場・タマホームスタジアム筑後ではウエスタンリーグに所属する二軍がイースタンリーグから千葉ロッテマリーンズの二軍を迎えての、サブ球場・筑後第2球場では、三軍がヤマエグループ九州アジアリーグ大分B-リングスを迎えてのそれぞれ交流戦を行った。

二軍戦の行われたタマホームスタジアム筑後
二軍戦の行われたタマホームスタジアム筑後

 現在、ホークスの三、四軍は、シーズン中、独立リーグとの試合をこなしている。三軍の場合は、四国アイランドリーグplusと九州アジアリーグの公式戦に参戦するかたちで計54試合を行う他、両リーグとの間で練習試合数試合を行う予定になっている。四軍もまた九州アジアリーグの公式戦に参戦。三軍と同じ24試合を実施する。

 試合は通常、メインのタマホームスタジアムで行うのだが、二軍と三、四軍のスケジュールが重なる日は、サブ球場も試合に使用する。先週末の場合、17日の土曜は、午後1時からサブ球場で九州アジアリーグの試合、午後5時から二軍の公式戦と隣接する球場で2試合が楽しめるとあって、試合前からパーク内は多くの人で賑わっていた。

三軍戦の行われた筑後第2球場
三軍戦の行われた筑後第2球場

 翌18日の試合は、三軍が午後12時半、二軍が午後1時からの同時進行。ファン、メディアの注目は当然「兄貴分」の二軍戦に集中していたが、三軍戦にはファームで調整中のリチャード内野手が出場とあって、見ごたえのある試合が展開されていた。

レイミン・ラモス(大分)
レイミン・ラモス(大分)

 前日は巨人の育成選手として2シーズンの経験をもつドミニカ人右腕レイミン・ラモスが5回途中まで好投するも、後続のリリーフが崩れ1対10の大敗を喫した大分は、軟投派左腕、辻興聖(岡山共生高)を立ててきた。一方のホークスもまた3年目の左腕、中道佑哉が先発した。

辻興聖(大分)
辻興聖(大分)

 初回、大分は先頭の新太郎(福工大城東高)がショート内野安打で出塁するも、1本が出ず無得点。その裏には、ホークスは早速、この試合4番サードに入ったリチャードが左中間にタイムリーツーベースを放ち、1点を先制した。

廣沢新太郎(大分)
廣沢新太郎(大分)

 大分も2回に2アウトから8番の高橋昂我(九州文化学園高)がヒットで出塁後、続く中野駿介(西武台高)が右中間を破るツーベースを放つが、高橋のまずい走塁でホームに帰れず。せっかくのチャンスを生かせなかった。NPBへの扉をこじ開けるためには、細かなところでのミスは禁物のはずの大分ナインだったが、この日の試合でも同様のミスが積み重なり、結局敗戦につながってしまう。

 大分は、辻が低めに変化球を集める丁寧なピッチングでホークス打線を封じ込め、4回には、走塁ミスを犯した高橋が名誉挽回のタイムリーを放ち、同点に追いつく。しかし、5回になり辻の球が浮き出すと、ホークス打線はこれを逃さなかった。先頭打者のショートへのゴロを川上理偉(大分高)がはじくと(記録は内野安打)、続くセカンドへのゴロも中野がグラブに収めることができず、ノーアウト1、3塁となった。ここで1塁ランナーの盗塁の後、ホークスのトップバッター、緒方理貢は高めに浮いた球を見逃さず2点タイムリー。これが決勝点となった。大分は、この後のピンチで迎えた4番リチャードを辻が見逃し三振に打ち取り、なんとかしのぐが、その直前の1アウト3塁からのピッチャーゴロの後、飛び出した3塁ランナーの挟殺に手間取り、バッターランナーの三進を許すなど、プレーの拙さが目立った。

決勝の2点タイムリーを打った緒方(ソフトバンク)
決勝の2点タイムリーを打った緒方(ソフトバンク)

 それでも、大分は辻が7回途中まで好投。リリーフの江口駿希(関学大)も無失点で切り抜け、試合を締まったものにした。

 初回にタイムリーを放ったリチャードは、4回の第2打席でもセンター前ヒットを放ち、その後盗塁。守備でも好プレーを連発し、格の違いを見せつけていた。

 今シーズンより宮崎サンシャインズが参入し、4球団制となった九州アジアリーグだが、現在各チーム、公式戦78試合中30試合前後を消化。昨年度独立リーグ日本一に輝いた火の国サラマンダーズが2位の北九州下関フェニックスに6ゲーム差をつけ、3年連続優勝に向けて視界良好といった状況になっている。大分は2位北九州を0.5ゲーム差で追う3位。新規参入球団・宮崎は戦力不足を露呈し、勝率1割台に甘んじている。

(写真は筆者撮影)

ベースボールジャーナリスト

これまで、190か国を訪ね歩き、23か国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆のほか、NPB侍ジャパンのウェブサイト記事も担当した。プロからメジャーリーグ、独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌に寄稿の他、NTT東日本の20周年記念誌作成に際しては野球について担当するなどしている。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020、24カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。2024年春の侍ジャパンシリーズではヨーロッパ代表のリエゾンスタッフとして帯同した。

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