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冬こそ「ダニ退治」のチャンス 掃除・洗濯など5つのポイントとは

有吉立アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当
写真はイメージ(写真:イメージマート)

ダニは夏場にだけ出るものと思っていませんか? でもそれは間違いです。ダニは冬でも生きています。肉眼では見えないので、「いない」と勘違いしてしまうダニについて、生態と対処法をお話しします。

家の中にいるダニの種類は?

家の中にいるのは、ヒョウヒダニ類(チリダニ類)がいちばん多いです。大きさは、0.2~0.4ミリメートル、色は乳白色で肉眼ではなかなか見えません。このダニは、気温25〜30度、湿度60〜80%の環境下で繁殖が加速するのですが、それ以外の温湿度になると死んでしまうのかというとそうではありません。

なぜ寒い冬でもダニは生きているの?

冬の時期、みなさんの家の中は温度を何度にされていますか? 一般的に冬の室内の快適な温度は18〜22度と言われていて、多くの人は22度くらいが快適に感じられるそうです。また、湿度が10%上がれば、体感温度は1度上がることや、インフルエンザなどのウイルス対策から加湿をされているおうちが多いのではないでしょうか。

ダニは案外低温にも強く、10度でも生きています。ということは、冬の室内で、夏ほど繁殖が旺盛ではないにしても、ダニは家の中のどこかに潜んで生きているのです。

冬のダニはどこにいるの?

冬のダニはどこにいるのでしょう? 部屋ごとに解説します。

ベッドルームでは

家の中にいるダニのエサは、私たち人間のフケやアカ、食べかすなどです。お布団や枕にはフケやアカが溜まりやすく、また人が暖めてくれて温度も最適です。更に冬でも寝汗をかくので湿度も上がり、ダニが快適に過ごせる環境になります。

リビングでは

カーペットや布製のソファなどにいます。暗いところが好きなので、潜っていることが多いでしょう。冬場は皮膚や頭皮がカサカサになりやすく、フケが落ちたりします。それがダニにとってエサとなってしまうのです。

またコタツは要注意です。コタツ布団や下に敷いているマットがダニの住処になりやすいと考えられます。コタツは暖かいうえに、蒸れがちになり、湿気がこもってしまい、ダニにとって過ごしやすい環境となります。また、長居することも多いため、フケやアカも溜まりやすくなり、冬のダニにとっては最高の場所かもしれません。

冬の間にダニを駆除しましょう

とはいっても、夏場のダニよりは冬のダニは少ないでしょう。この少ない時期にダニを退治して減らしておくことが来年の夏のダニの増殖を防ぐことに繋がります。

では、ダニ退治の対策を解説します。

こまめに掃除をする

ダニの餌を増やさないことです。ダニの餌であるフケやアカ、食べかすなどは、家の中のあちこちに溜まりやすいので、小まめに掃除することがいちばん大切です。掃除機をかけるときは、さっと動かすだけでなく丁寧に行うことが基本です。表面にいるダニは生きていても吸い込めますが、カーペットやソファなど潜り込めるものは、奥へ奥へと逃げ込んでしまいます。カーペットや布製のソファなどは、「ダニ駆除用スプレー」などで処理した後、死骸を掃除機で吸うようにしてください。表面だけでなく、カーペットの下でダニが増えていることもあるので、裏面や床にも、掃除機がけを忘れずに。

洗濯をする

シーツ、カバー、衣類、毛布やタオルケットについたダニの死骸やフンなどのダニアレルゲンは、水溶性なので洗濯機でほぼ洗い流せます。また、ダニが卵から幼虫になるのに約1週間かかり、幼虫になるとアレルギーの原因となるフンをします。1週間に1回洗っていれば、理論的にはゼロとなるので、シーツや枕カバーは1週間に1回洗うことをお勧めします。

写真はイメージ
写真はイメージ写真:アフロ

洗えない布団は高温にする

ダニは高温に弱く、60度の熱では一瞬で、50度の熱では30分で死滅します。布団のダニを退治するにもこのくらいの温度が必要なので、家庭用の布団乾燥機やコインランドリーが有効です。布団乾燥機の取扱説明書に沿って、ダニ退治のモードで運転するとダニの駆除ができます。ただ、ダニの死骸やフンなどダニアレルゲンは熱だけでは除去できないので、掃除機で吸い込むことを忘れずに行ってください。

1日1回は換気をする

ダニは乾燥が苦手で、湿度が低くなると体が干からびて弱っていきます。外の乾燥した空気を入れて、ダニを退治しましょう。特に寝るときに加湿器をつけているベッドルームは要注意です。朝起きたら窓を開けて換気をして部屋に風を通してから出かけましょう。そのままにしていると湿度が保たれてダニが増えやすくなる可能性が高くなります。

冬の時期なので、寒いかもしれませんが、毎日1回は、家の中に風を通すことが、ダニ退治になります。

結露対策も忘れずに

結露があるとカビが生えやすくダニも発生します。窓に発生している結露は、乾いた雑巾などでしっかりと水分を拭き取り、拭き取った後は、市販の結露防止シートや結露防止スプレーを使って今後の対策をしておきましょう。また、結露が発生している窓のカーテンに湿気が含まれている場合は、洗濯して干してカラっとさせましょう(カーテンの洗濯表示は確認してください)。

最後に・・・

冬でもダニは生きています。ただ、夏場よりは少ないのでこの冬の時期にダニを徹底的に退治することで、次世代のダニの数が確実に減ります。アレルギーの原因にもなるダニを大掃除もかねて、駆除することで、気持ちよく新年を迎えられるのではないでしょうか。

(12/26 記事タイトルとタイトル画像を修正・変更しました)

アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当

兵庫県出身。都内の美術学校卒業後、 家具店店員、陶芸教室講師など虫とは全く関係のない職業に就いていたが、1998年に地元・赤穂のアース製薬に入社以来、害虫の飼育を担当している。しかし、現在も虫は好きではない。著書に「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)※記事は個人としての発信です。

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