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カメムシは「白色」が大好き 被害に遭わないための対策とは

有吉立アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当
写真はイメージ(写真:UTS/イメージマート)

「カメムシ」と、聞くだけであのニオイを思い出してしまう方も多いかもしれません。秋になるとカメムシに遭遇する機会が増えます。洗濯物に付いていることに気づかず取り込み、家の中にカメムシ臭がこもる可能性も。そんな悲惨な目に遭わないために、生態と対処法をお伝えします。

カメムシはどこからやってくる?

日本に生息するカメムシは約1,300種類以上。多くは果実や植物の汁を吸い、農業被害を起こす害虫です。このうち本州から沖縄まで広い範囲で民家の近くでよく見かけるカメムシは、大きさ5~23mm程度、色はさまざまで緑色だったり灰色がかっていたりします。

秋になるとカメムシが目立つのは、ライフサイクルが関係しています。夏場は夜間灯りに寄って来るので網戸や玄関回りに集まりますが、晩秋になると越冬場所に飛来します。本来は木の表皮の隙間などで寒さをしのぎますが、近くに家屋があると、より過ごしやすい環境を求めて屋内に群がって侵入するようになりました。

日の当たる温かい壁などをウロウロと歩き回ったりしているうちに、窓や扉、換気口の2~3mmの隙間から家屋に入り込みます。たいてい家屋の隙間でじっとして冬を越しますが、暖房の効いた室内では、活発に動くカメムシもいるので注意が必要です。

カメムシは白色が好き

カメムシが白い洗濯物や白い壁にとまっているのを見かけたことはありませんか? 白色は、太陽光が反射しやすく、光って周囲より明るくなります。また、白色は太陽光を吸収せず反射するので、白い色の場所にいると、太陽光が集まって体が温まるのです。カメムシは明るくて温かいところが好きなので、白い場所にいることが多いのです。洗濯物を取り入れる時は、カメムシがいないかどうかチェックすることをお勧めします。

なぜ臭いニオイを出すの?

「ヘコキムシ」「ヘッピリムシ」「クサムシ」「ガイダ」など各地域の呼び名にも表れているように、嫌なニオイの代名詞ともいえるカメムシ。ニオイを放つ理由は大きく2つあります。

・刺激性物質を出すことで、外敵から身を守っています

カメムシは、危険を感じると刺激性のあるアルデヒド類を主成分とした物質を脚の付け根(幼虫は背中)から出します。これがニオイの原因です。このニオイを嗅いだ外敵は、二度と同じ種類のカメムシを襲わなくなると言われています。

・仲間とコミュニケーションをとるためです

カメムシのニオイは、仲間同士での情報交換にも役立っています。普段出しているわずかなニオイで同じ種類同士が集まることができたり、外敵に襲われそうな時には強いニオイを出して周りに知らせています。カメムシはあのニオイを上手に活用しているのです。

カメムシ皮膚炎になることも

人家周辺で見かけるカメムシは人を襲うことはほぼありません。ただ、洗濯物や靴の中に紛れ込んでいて、気づかず触ったり、踏んだりしてしまった時は要注意です。カメムシの刺激性物質が直接皮膚に触れると、皮膚炎や色素沈着を起こしてしまうことがあります。越冬するために家の中に入り込むこの時期、カメムシが潜んでいないか確認することが必要です。

写真はイメージ
写真はイメージ写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

そんなカメムシに対処するには? 

シーン別にご紹介します。

・カメムシを侵入させないためには?

カメムシを忌避できるスプレーが市販されています。予防として越冬前の今の時期、10月半ばくらいまでに対策しておくことをお勧めします。飛来したカメムシの侵入を防ぐことができるので、網戸や窓枠、壁やサッシの隙間、玄関灯など、よく来る場所にスプレーしておくと効果があります。カメムシは平べったい虫なので、2mmの隙間があれば侵入できてしまいます。サッシと網戸の隙間ができないように気をつけましょう。

・カメムシを見つけた時は?

カメムシがたくさんいる時や、近づきたくない時は、速効性のあるスプレー剤を使用するとよいでしょう。カメムシ用のスプレー剤は市販されています。嫌なニオイを出さないように駆除するには、ニオイを出すスキを与えずに瞬時に仕留めることが重要です。商品にもよりますが、20〜30cm離れた位置から、数秒噴射するだけで退治できるので、虫が苦手な人におすすめです。冷却効果があり、殺虫成分を使用していないスプレーもありますので、洗濯物などに付いたカメムシにも安心して使えます。

・ニオイが出ないように仕留めるにはガムテープも有効

カメムシがニオイを出すところは身体のお腹側なので、背中側からガムテープで覆うように狙い、くっついたらガムテープでサンドして包み、そのまま廃棄します。ただ、ガムテープで覆う時に、勢いよく貼りつけてしまうと、カメムシが危険を察知してニオイを出してしまうので慎重に…。

・もしニオイが付いてしまった時は?

カメムシのニオイは洗ってもなかなか取れません。ニオイ成分には、水に溶けやすいものと油に溶けやすいものが混ざっているので、その両方を落とす必要があります。消毒用アルコールや化粧のクレンジング剤を使って油成分を落とした後、石けんで洗うと効果的にニオイを取ることができます。

カメムシのニオイは、タイ料理に使われるパクチーに似ていると言われます。人によってはカメムシと同じニオイを感じるため、パクチーが苦手ということになるようです。(*)

カメムシの中には青リンゴに似たいい香りがするものもいます。カメムシが全部いい香りだったらこれほど嫌われていないかもしれませんね。

この秋、カメムシ臭を嗅がないですむようにしたいものです。

A genetic variant near olfactory receptor genes influences cilantro preference

アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当

兵庫県出身。都内の美術学校卒業後、 家具店店員、陶芸教室講師など虫とは全く関係のない職業に就いていたが、1998年に地元・赤穂のアース製薬に入社以来、害虫の飼育を担当している。しかし、現在も虫は好きではない。著書に「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)※記事は個人としての発信です。

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