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イスラーム国はアブー・ハサン・ハーシミー・クラシーなる人物を新カリフに任命したと発表

青山弘之東京外国語大学 教授
(写真:ロイター/アフロ)

イスラーム国は2月6日に声明を出し、同月2日に米軍の特殊作戦によってシリア北西部のイドリブ県アティマ村近郊で殺害された指導者(自称カリフ)のアブー・イブラーヒーム・クラシーに弔意を示すとともに、後任のカリフにアブー・ハサン・ハーシミー・クラシーを任命したと発表した。

ドゥラル・シャーミーヤなどシリア反体制系の複数メディアが、イスラーム国に近いSNSによって声明が共有されているとして伝えた。

イスラーム国は声明で、シリア国内で活動を続けるメンバーらに向けて、クラシー殺害に我慢と忍耐をもって臨むとともに、これまでに殺害された先達らと同じ道を歩むよう呼びかけた。

アブー・ハサンなる人物に関して、国際テロ組織でシリアのアル=カーイダとして知られるシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)が指導する反体制派の支配地で活動するシリア北部侵害記録センター(VDC-NSY)は、イスラーム国が新指導者の名前や素性を公表しないことは、その手法や政策において異例ではないとしたうえで、米国の標的とならないよう新指導者が誰であるかを隠し続けることだろうとの見方を示した。

東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリア地震被災者支援キャンペーン「サダーカ・イニシアチブ」(https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』などがある。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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