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日本で一番きれいな虫その⑧=オオトラフコガネのデザインに脱帽

天野和利時事通信社・昆虫記者
オオトラフコガネのデザインセンスは一流ブランド並み。

 オオトラフコガネ(オオトラフハナムグリ)は、キラキラではなく、極彩色でもない。しかし、そのデザインのセンスは玄人筋をうならせる。

 胸部の模様はスーパーマンの胸の紋章を思わせる。上翅の模様もなかなか凝っているし、頭部にまで個体によって微妙に異なる模様が入っている。大きく3つに分かれたヒゲ(触角)も格好いい。黄色いパンツを履いたようなお尻も魅力的で、虫好きの間で非常に人気が高いのも納得だ。これほど凝った意匠のコガネムシの仲間は、日本では数少ない。

オオトラフコガネの胸の模様はスーパーマン?
オオトラフコガネの胸の模様はスーパーマン?

オオトラフコガネを横から見た時のボリューム感にも注目。
オオトラフコガネを横から見た時のボリューム感にも注目。

 比較的希少な種と言われていることもあって、まだ見たことのない人は初めての出会いを待ち焦がれ、何度も出会っている人も、毎年オオトラフコガネを見ないと何だか落ち着かない。

 高尾山周辺には比較的多いのだが、出会いの機会が少ないのは、発生時期と関係しているかもしれない。高尾でオオトラフコガネを目にする確率が高いのは、これまでの経験では6月後半。発生期間がかなり短い上に、梅雨時と重なることが多いので、土日だけしか虫探しのチャンスがないという人々(昆虫記者もその1人)には、厳しい条件だ。珍しい虫と思われているのは、そのせいかもしれない。なので今年は結局、出会いの機会を逃してしまい、非常に悲しい思いをした。

 タイミングが合えば1日に10匹近く目にすることもあるので、数が少ないというわけではないかもしれない。

オオトラフコガネの正面顔は勇壮。
オオトラフコガネの正面顔は勇壮。

黄色いパンツを履いたようなオオトラフコガネの後ろ姿も魅力的。
黄色いパンツを履いたようなオオトラフコガネの後ろ姿も魅力的。

 オスとメスの姿が全く違うという点でも、オオトラフコガネは特異な存在だ。美しいデザインなのはオスだけで、メスは全体的に黒い体に控えめに白い筋を施しただけの地味な姿だ。メスを目にして「なんて地味な虫なんだ」と、一瞥しただけで通り過ぎてしまう人もいるだろう。しかし、メスがいれば近くにオスもいる可能性があるので、メスを無視してはいけない。

色黒で圧倒的に地味なオオトラフコガネのメス。数が少ないので出会ったらラッキーと思うべし。
色黒で圧倒的に地味なオオトラフコガネのメス。数が少ないので出会ったらラッキーと思うべし。

 それにメスの方が圧倒的に出会いの機会が少ない(オスほど活動的でないせいかもしれない)ので、本当はメスを見られたら超ラッキーなのだ。(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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