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日本で一番きれいな虫その⑥=沖縄行くならナナホシキンカメを見逃すな

天野和利時事通信社・昆虫記者
ナナホシキンカメムシを抜きに沖縄の虫旅は語れない。

 沖縄方面に旅行したら、海水浴や日光浴は後回しにして、まずはナナホシキンカメムシ(縮めてナナホシキンカメと呼ぶことが多い)を探そう。この宝石のような虫を見なければ、沖縄を堪能したとは言えない(なんてことは全くない)。ただし、お土産に持ち帰るのはちょっと危険だ。いくら美しくても、やはりカメムシなので、悪臭を発することがあるからだ。

 沖縄県は昆虫記者の憧れの地だが、新婚気分のころに本島に行った以外では石垣島に1回行っただけである。南国の虫が多いので、何度も行きたかったのだが、金欠でためらっているうちにコロナ禍になってしまった。

 そのたった1度の石垣島旅行の重大目標が、ナナホシキンカメ探しだった。最初の日は結構必死に探し回って、何とか数匹見つけた。「山ほどいると聞いていたのに、意外と少ないじゃん」とかぼやきながら1日を終え、翌朝に宿のベランダに出ると、そこにナナホシキンカメが4、5匹歩いていた。夜に灯火に集まってきたのかもしれない。「山ほどいる」は、少なくとも石垣島に関しては本当で、昆虫記者の探し方に問題があったようだ。

裏から見ても異常に美しいナナホシキンカメムシ。
裏から見ても異常に美しいナナホシキンカメムシ。

キリの木のような大きな葉の木(たぶんオオバギ)でナナホシキンカメムシ多く見かけた。
キリの木のような大きな葉の木(たぶんオオバギ)でナナホシキンカメムシ多く見かけた。

 「ナナホシキンカメを見ずして石垣島を語るなかれ」とまでは言わないが、こんなにきれいな虫が、こんなにたくさんいるのだから、観光客は、海水浴や名所めぐりの合間に是非見つけて、写真を撮って帰ってほしい。

 おせっかいな昆虫記者は、朝食時に一緒になった他の宿泊客全員につい、「この虫、有名なんですよ。写真撮った方がいいですよ」などと声をかけ、ナナホシキンカメ観光大使を務めてしまった。もちろん、他の宿泊客はみんな喜んで(何人かは面倒くさげに)写真を撮っていた。きっと素晴らしい旅の思い出になったことだろう…などというのは虫好きの勝手な思い込みだ。

 ナナホシキンカメほど多くはないようだが、石垣島では同じキンカメムシの仲間で、アカギカメムシというのも見かけた。オレンジ色のものが多いようだが、昆虫記者が見たのは背中全体が白い白化型で、清楚な美しさがあった。

アカギカメムシの白化型は清楚な美しさ。
アカギカメムシの白化型は清楚な美しさ。

アカギカメムシはこのオレンジ色系のが多い。
アカギカメムシはこのオレンジ色系のが多い。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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