近年東京都区部では、アオカナブンを見かけることがほとんどなくなり、非常に悲しい。昆虫記者の子供時代には、神宮外苑でも捕まえたことがあったのだが、今は望むべくもない。

 アオカナブンの透明感のある輝きは独特だ。タマムシのような金属的輝きではないし、ルリボシカミキリのようなビロードの輝きでもない。安易に宝石に例えると、エメラルドということになるかもしれないが、透明なガラスを通して内部から光彩を放つような輝きは、オバールに近い。エメラルド色のオパールという表現が、アオカナブンにふさわしいかもしれない。

こういうアオカナブンの集団を都心で見ることは、ほとんどなくなった。
こういうアオカナブンの集団を都心で見ることは、ほとんどなくなった。

 もちろん、そんな表現は持ち上げすぎである。しかし、大の虫好きが初めてアオカナブンの集団を目にした時の興奮は、メキシコの鉱山でオパールの原石を掘り当てた者の興奮に勝るとも劣らないと思う。そんなことを書いているだけで、興奮してきて、すぐに探しに行きたくなるぐらいだ。

スズメバチに包囲されたアオカナブン。この状態のアオカナブンを捕まえるのは勇気がいる。
スズメバチに包囲されたアオカナブン。この状態のアオカナブンを捕まえるのは勇気がいる。

 実は普通のカナブンの中にも、少しアオカナブンとまぎらわしい緑色系統のものがいる。アオカナブンを見たことのない人が、この緑色系のカナブンを見つけると「やったー、アオカナブンだ!」と、ぬか喜びすることがある(昆虫記者も子供の頃よくやった)。見慣れていれば、色合いと透明感だけで、一見して違いは明白なのだが、確実に確認したければ、裏返して後脚の付け根を見ればいい。そこがくっついていればアオカナブン、離れていれば緑色系のカナブンだ。

ただのカナブンの中にも緑色系のもの(左の写真)がいる。裏返して後ろ足の付け根が離れていれば(右の写真)ただのカナブンだ。
ただのカナブンの中にも緑色系のもの(左の写真)がいる。裏返して後ろ足の付け根が離れていれば(右の写真)ただのカナブンだ。

普通のカナブンの多くはこんな色。都心でもたまに、こういう大集団を目にすることがある。
普通のカナブンの多くはこんな色。都心でもたまに、こういう大集団を目にすることがある。

 外苑で初めてアオカナブンを捕まえて、確実にアオカナブンと確認した時の喜びは、今も覚えている。今の子どもたちにも、是非あの喜びを味わってほしい。最近東京でアオカナブンを見る機会は激減しているが、今でも夏に高尾山に行くと、運が良ければアオカナブンの集団を目にすることができる。そんな高尾の自然がいつまでも守られることを期待したい。(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)