公平か、不公平か?ヨーハウグ選手、18か月の処分延長に ノルウェーのドーピング騒動

記者会見で「不公平だ」と泣いたヨーハウグ選手Photo: Asaki Abumi

ノルウェーのノルディックスキー距離女子のテレーセ・ヨーハウグ選手の資格停止処分の延長が決まった。

ドーピング違反により、2018年4月17日まで、18か月の出場停止となる。復帰を狙っていた平昌オリンピックの出場は不可能となった。

処分はスポーツ仲裁裁判所(CAS)によって、満場一致で22日に発表された。

同選手は、昨年チームドクターの指示に従い、「うっかり」ドーピングしてしまった。

使用した唇の治療薬には禁止薬物が入っていた。

リップクリーム外箱に「ドーピング」注意印が記載されていたが、医師と選手は気づかなかったそうだ。

「責任は医師にあり、自分は無実である」と、自分は被害者だと主張していた。

13か月から18か月へ延長

当初、選手はノルウェー・オリンピック委員会から13か月の停止処分を科されていた。しかし、「十分ではない」として、国際スキー連盟(FIS)は3月にスポーツ仲裁裁判所(CAS)に処分延長を求めた。その結果、CASにより18か月へと停止処分が延長された。

22日、ヨーハウグ選手はノルウェーで記者会見に出席。選手と選手を支えるチームは、公式発表前日に結果を通知されていた。選手は泣きはらし、やつれた顔で会見に登場した。

「理解できない。不公平だ」

「平昌オリンピックに出場することが夢で、そのために訓練を続けてきた。とてもつらい。理解できない。なぜこのような罰を受けるのか理解できない。あまりにも不公平だ。私は医者を信じるという、正しいことをしただけ」。選手は泣きながら、会見で話した。

選手のマネージャーも、現地の報道陣から取材を受ける途中、「不公平だ」と涙を流した。

ノルウェーのスキーの女王であるマリット・ビョルゲン選手は、ヨーハウグ選手から事前に連絡を受けていた。「電話で二人で泣いた」と現地メディアに話す。「スポーツとは不公平だ」と涙声で話した。

選手の責任ではなく、このような事態を引き起こした「組織のシステムに原因がある」という指摘がノルウェーでは目立つ。

国外からは「妥当な処分」という意見

「かわいそう」という同情の動きが強いノルウェーとは対照的に、国外では「妥当な処分だ」とする声が目立つ。

国際スキー連盟(FIS)のジャン・フランコ・カスペル会長は、ノルウェー国営放送局NRKに対しこう話す。

「ヨーハウグの不公平だという主張は、正しいとは思えない。CASは正しく仕事をしただけだ。私はルールというものを強く信じている」。

たとえスキー王国だとしても、ノルウェー人でさえも厳しい処分を受ける。その「見本」として、ヨーハウグ選手が「政治的なゲームの駒」にされたというノルウェーでの指摘を、会長は否定した。

フィンランドのスポーツ法学者のOlli Rauste氏はNRKに対し、「処分は妥当だ。ノルウェー以外の専門家たちは、“回避することが可能だったにも関わらず、その行為を怠った”と認識している。ヨーハウグは、してはいけないことをしてしまった。その事実を受け止めることができないノルウェーの人々は、まるで自分たちの殻に閉じこもっているかのようだ」と話した。

スウェーデンのエクスプレッセン紙のスポーツ専門家のぺッテルセン氏は、「妥当な処分。彼女は間違いを犯した。会見で自分は正しいことをしたと話していたが、理解しがたい。ドーピングにおける責任を怠ったのであれば、その代償を支払うべきだ」とNRKに答える。

スウェーデンのAftonbladet紙では、「ノルウェーのドーピング文化がもたらした結果」という声も。

この日の記者会見で、ヨーハウグ選手はいずれ復帰する姿勢は見せながらも、報道陣に当分の間は静かにさせてほしいとお願いをした。

クロスカントリースキーはノルウェーが誇る冬の競技だ。ノルウェーのアーナ・ソールバルグ首相は、この日、自身のFacebookで「みんなでテレーセを応援しましょう」と呼び掛けた。

Text&Photo: Asaki Abumi