ノルウェースキー界の女王が禁止薬物陽性 「私に一切罪はない」と責任否定し、記者会見で号泣

ノルウェーで大人気のヨーハウグ選手 Photo:Asaki Abumi

ノルウェーのウィンタースポーツ界にまた大きな衝撃が走った。ノーベル文学賞の受賞者がボブ・ディラン氏だと生中継されている最中、ノルウェーでは別の記者会見が行われており、国内ではそちらのほうが大きな注目を集めていた。

雪国ノルウェーは冬のスポーツ競技を得意としており、特にスキー関連種目では各世界大会で金メダルの獲得が当たり前となっている。

13日、クロスカントリースキーを代表するテレーセ・ヨーハウグ選手が、ドーピング検査で陽性反応を示したと発表した。同選手とマリット・ビョルゲン選手は、スキーの女王とも称えられ、メダル獲得の常連だ。

同選手は、唇が日焼けし、ナショナルチームの担当医師が遠征先のイタリアの薬局で薬剤を購入。そこに禁止薬物のクロステボルが含まれていた。同選手の唇がカサカサに乾いて腫れていた映像は、ノルウェー国内では何度もこれまでのニュース映像で流れていた。

記者会見で、ヨーハウグ選手は号泣。今の気持ちを「描写できない、言葉にできない」と話した。「このクリームはドーピングリストに載っていないのか医師に聞いたら、載っていないといわれた。最悪の悪夢」と説明。「私の身体における責任は、自分にあるとは自覚している」と強調する。しかし、今回の件に関しては「私には一切罪はない。私が無実だと証明するために、これから闘っていく」と、泣きながら自身の責任を否定し、無実を訴えた。

担当医師は「なぜ気づくことができなかったのか、わからない。言い訳をすることはできない」とし、同選手をかばい、自分に非があることを認め、チーム担当医師の職を辞任することを発表。

今回の禁止対象の薬物は、事前にインターネット検索をすれば、すぐに把握することができただろうとノルウェーでは批判されている。

今後の対応はアンチ・ドーピング・ノルウェー機構によってこれから判断されるが、ヨーハウグ選手からの薬物検査ででた数値は「低かった」とされている。だが、場合によっては2~4年間の競技停止を命じられる可能性がある。

ノルウェーではウィンタースポーツ競技への愛情が深く、国内記者も選手に対して同情する傾向が少なからずあり、「外国での薬局の購入は細心の注意を払うものだが、誰だってミスをすることはある」というコメントなども紹介。ノルウェーが誇るスポーツの評判に傷がつくのではと、むしろスウェーデンなど他国での批判報道を気にしている側面もある。

ノルウェーでは、今年だけで2件の大きなドーピングスキャンダルが起きた。クロスカントリースキーで男性選手のMartin Johnsrud Sundby氏も大きく批判されたが、ヨーハウグ選手のケースは「さらにたちが悪い」とする記事もでている。業界内の甘さが、今後厳しく指摘されそうだ。

Photo&Text: Asaki Abumi