ノーベル平和賞、今年は異論なし?ノルウェー現地での反応

ノーベル平和賞の発表の瞬間 Photo:Asaki Abumi

肯定的な反応

ノーベル平和賞を受賞したのは4団体からなるチュニジアの民主化貢献団体「国民対話カルテット」。有力候補とされていた難民や核兵器関連、法王とは大きく予想が違ったことから、発表の瞬間は会場は大きな驚きに包まれた。

オバマ大統領やEUなど、物議をかもす受賞者が集中していた近年と比較すると、今回の受賞者は全体的に肯定的に受け止められている。

新体制の委員会のお披露目日

Photo:Asaki Abumi
Photo:Asaki Abumi

ノルウェーの現地報道機関で注目されていたのは、新しい委員長と事務局長でなる、新たな委員会だ。この日は、新委員会が世界を前に受賞者を発表する、注目のデビュー日でもあった。

カーシ・クルマン・フィーベ委員長は 米誌『Forbes』が選ぶ「世界で最も影響力のある女性」100人で86位にランクインしている。前委員長は解任され、ノルウェー政府の保守派から支持を受け、フィーベ氏が抜擢された。前事務局長による暴露本の騒ぎもあり、フィーベ委員長が率いる委員会は、今後は情報の取り扱いや、受賞者の選出にはさらに慎重になるとみられている。

話題の暴露本は?

騒がれていた暴露本についてのコメントは、ノルウェーのメディアであれば、どうしても欲しいものではあった。さすがに当日に受賞者以上に重点を置くと批判を受ける可能性があるため、国営放送局などは最初は慎重だった。記者会見では、スクープや芸能記事を得意とする地元のヴェルデンス・ガング紙が先陣を切り、暴露本についてコメントを求める。「この日は、著者のゲイル・ルンデスタッドではなく、受賞者が注目されるべき」として、委員長はそれ以上のコメントをしなかった。

ノーベル平和賞の暴露本の内容がすごい 平和賞はやはり政治的だった

やはり政治的な平和賞

オスロにあるノルウェー・ノーベル委員会 Photo:Asaki Abumi
オスロにあるノルウェー・ノーベル委員会 Photo:Asaki Abumi

暴露本の影響で、ノーベル平和賞は政治的であることが明白になったが、この日も色合いが濃く出た。

注目されていたのは、ノルウェー首相の動向だった。

  • 毎年恒例の記者会見をするのか?
  • 外交関係に影響がでる受賞者だった場合でも、祝辞をのべるか?

結果、首相は記者会見で受賞者の功績を公式に讃えた。

ただ、これまで首相は公式コメントを用意するために、受賞者発表の数時間前には、委員会より受賞者の名前が知らされていたが、今年はそれがなかった。関係者とともにテレビの生中継で知ったようだ。国営放送局によると、「委員会が政治的に独立した機関であることを証明するため」と委員会が希望したためで、ここ数年の独立的立場についての批判をうけての対応とみられる。

ノミネートしたのはノルウェーの政治家

委員会に「国民対話カルテット」をノミネートしたのは、ノルウェーの政治家代表による共同推薦だった。左派社会党(SV)の国会議員ヘイッキ・ホルモス氏と、労働党(Ap)の国会議員オースムン・アウクルスト氏だ(SVのTweet)。

また、国営放送局によると、労働党党首のストーレ氏は、コンゴ民主共和国のデニス・ムクウェゲ医師を、さらに保守党の議員3人はチュニジアのベジ・カイドセブシ大統領とモンセフ・マルズーキ元大統領を平和賞にノミネートしていたことがわかった。

Photo&Text:Asaki Abumi