崖っぷちで踏みとどまった社民党 福島党首の執念と若者支持が「得票率2%」導く?
政党として存続するのか、ただの政治団体に転落してしまうのか――。参院選の結果が大きく注目されていた社民党。4人を擁立した選挙区の当選者はゼロだったが、比例区の得票率は公職選挙法が規定する「2%」を超えたため、政党として存続することとなった。福島瑞穂党首(66)も5選を果たした。 【参院選2022投開票日】社民党・開票センターの様子(2022年7月10日)
●憲法9条がピンチです
投開票から一夜明けた11日午前10時に開かれた記者会見。福島氏は「全国の社民党員の頑張り、応援して下さったみなさんのおかげで党を存続させることができた」とほっとした様子で語った。 前身の社会党時代を含めて77年の歴史を誇り、内閣総理大臣も2人出した社民党だが、近年は離党者が相次ぎ、国会でも存在は埋没していた。3年前の参院選の得票率は2.09%、昨年の衆院選では1.77%まで落ち込んだ。所属の国会議員も衆院議員1人と福島氏のみだ。 公職選挙法は、政党要件を▽所属国会議員が5人以上▽直近の衆院選、参院選のいずれかで得票率が2%以上――のどちらかを満たすことと定めている。政党要件を失うと、次期衆院選で小選挙区と比例代表の重複立候補ができず、選挙区候補が政見放送を流せないなど、活動が大きく制限される。いわゆる「諸派」扱いとなる。社民党は今回、「2%以上の得票率」を確保できるかが注目されていた。 崖っぷちの危機感から、福島氏は参院選公示後の18日間で約20都道県を回り、計7633キロを移動した。前回6年前とは比較にならないほどの活動量で、投票3日前にはすでに声がかすれていた。街頭では「憲法9条がピンチです。社民党もピンチです」と訴え、選挙戦最終日には福島氏のパートナーの海渡雄一弁護士(66)も応援に駆けつけた。 社民党が護憲を強く掲げていることもあり、これまでメインの支持層は高齢の人たちだったが、20代の女性や若者層ともつながろうと、福島氏自身がインスタグラムで悩みの相談を受ける企画にも挑戦した。擁立した候補者も選挙区で4人、比例区で8人と、前回6年前の7人から大幅に増やした。 「やれることはすべてやります」選挙直前、福島氏は鬼気迫る表情で語っていた。