ドームから360度の眺望を楽しめる客車、ビールの試飲会も 日本語を話すスタッフも乗務、カナディアン乗車記④ 「鉄道なにコレ!?」【第60回】
「(最高時速285キロの)東海道新幹線の高速走行とは対照的ですね。私は運良く2015年に日本を訪れた時に東京駅から京都駅まで乗りましたが、その速さに驚きました」 ▽「日本からもっと多くの人に来てほしい」 レクチャー終了後に「日本のことをよくご存じですね」と話しかけると、ファラージさんは「日本の方ですか!」ときれいな発音の日本語で返答した。 ファラージさんは地質学者の父親が北海道大学で研究していたため札幌市で生まれ、約7カ月過ごした。オーストラリアのブリスベーンを経て、1988年の冬季オリンピックが開かれたカナダ西部アルバータ州カルガリーへ2003年に引っ越した。岐阜県内の高校を卒業した日本語教師の母親から日本語を教わり、高校卒業後の15年には福岡市の日本語学校で約3カ月間学んだという。 VIA鉄道に入った後に訓練してくれたトレーナーも、日本語が流ちょうだという。ファラージさんは「最近は少なくなってしまいましたが、かつては大勢の日本人が乗車していたと聞きました。日本からもっと多くの人に来てほしいです」と強調した。
▽「タダ酒のチャンスを逃すわけには…」満席の試飲会 午後4時からのスカイラインドームカーの1階のテーブル席で開かれたカナダ各地のクラフトビールの試飲会は、講師役のファラージさんが現れた時点で置かれていた20余りのいすが既に埋まっていた。 カナディアンは旅客機のファーストクラスに当たる寝台個室「プレスティージ寝台車クラス」(本連載第58回参照)以外の乗客はアルコール類を注文すると有料だ。このため、「タダ酒のチャンスを逃すわけにいきませんよね」と同じテーブルになった人たちと笑い合った。 試飲した中で特にユニークだったのは、オレンジ色の缶に入ったブリティッシュコロンビア州ノースバンクーバー市のブリッジ・ブリューイングの「バーボン・ブラットオレンジ・ウィートエール」という商品だ。ブラッドオレンジのジュースとピール、バーボンを加えて醸造した濁ったオレンジ色のビールで、柑橘系のさわやかな口当たりながら余韻が残る。