ドームから360度の眺望を楽しめる客車、ビールの試飲会も 日本語を話すスタッフも乗務、カナディアン乗車記④ 「鉄道なにコレ!?」【第60回】
私が乗ったカナディアンはディーゼル機関車2両が先導した16両編成で、スカイラインドームカーは2両あった。うちエコノミークラスの乗客向けが7両目、寝台車利用者向けが13両目にそれぞれ連結されていた。 ▽乗客目線で書かれた案内、「気配りができる乗務員」と推理 トロントからバンクーバーへ向かうカナディアンは、定刻ならば2日目の夜にカナダ中部マニトバ州ウィニペグで客室乗務員が全て交代する。 寝台車利用者向けのスカイラインドームカーの1階には、案内事項を手書きした白板が掲げられていたが、板書をひと目眺めただけでトロントからウィニペグまでも、ウィニペグからバンクーバーまでも、ともに気配りができる担当者だなと推理した。 なぜならば白板に記入した内容が乗客目線に立っていると感心したからだ。その後、実際に本人たちに会って私の推理が当たっていたと確信した。 ウィニペグまで担当したサラ・ブリークリーさんは1日目の列車出発後、白板に「新鮮な外気を吸える場所」としてオンタリオ州のキャプレオル駅に午後5時22分までに到着予定なのを案内していた。
カナディアンは禁煙のため、ある乗務員は「喫煙できる途中駅への到着が遅れたことにいら立った喫煙者がトラブルを起こしたこともある」と打ち明ける。ブリークリーさんはニコチンを欲している喫煙者にも配慮していたのだ。 列車がマニトバ州の穀倉地帯にある単線区間を走行中には、反対方向の列車と行き違うため待避線に進入した。ところがなかなか発車せず、私が腰かけていた2階の展望用座席の近くには遅延を心配する乗客もいた。 そんな様子を察知したブルークリーさんは2階にやって来て「反対方向の貨物列車が遅れていますが、この列車は大幅に余裕を見たダイヤ設定をしているのでウィニペグにほぼ定刻通り到着できますよ」と説明した。実際、貨物列車とすれ違った後のカナディアンは順調に走り、ウィニペグに到着したのは定刻よりやや早いほどだった。 ▽「イベント車両へようこそ!」カナディアンの豆知識を連発 代わってウィニペグで乗り込んだエミリー・ファラージさんは、白板を見ただけでスカイラインドームカーを盛り上げようと意欲満々なのが一目瞭然だった。「イベント車両へようこそ!」と大書し、3日目は午後2時から2階でのVIA鉄道のレクチャー、午後4時からは1階でのカナダのクラフトビールの飲み比べ、午後8時から映画上映会があると記入されている。