因縁対決…WBC世界王者・寺地拳四朗4.24大阪V8戦決定も“泥酔車破損事件”で待たされた挑戦者陣営「怒っています」
一方、迎え撃つ拳四朗もリング上の姿でファンへの“みそぎ”に代えたいとの思いがある。 「社会貢献活動を続ける中でたくさんの人にお世話になった。次の試合で恩返しするためには、絶対に勝たないといけない、これからは世界王者らしい生き方をしたいと思った」 ここまで85時間の社会貢献活動を続けてきた。 京都では小学生の登下校の“見守り隊”、東京では地域のタバコの吸い殻などのゴミ拾い、介護施設の畑仕事の手伝い、神社仏閣の掃除などのボランティア活動を黙々とこなした。みかん狩りも手伝った護国寺では、重要文化財に指定されている月光殿を掃除した。ペナルティとしての“罰ゲーム”ではなく、自らの”愚行”を反省し、周囲への感謝の気持ちを忘れず、自分の心を磨く時間に置き換えた。 「重要文化財を綺麗に掃除することで自分の心も清くなった。以前と違った力を見せられると思う」 挑戦者の久田について「パンチはある。技術も高い」と警戒したが、「しっかりと自分のボクシングを突き通すだけ」と不安は見せなかった。 会見で繰り返し口にした「素敵な試合」とは「打たせずに倒す試合」だと言う。 謹慎期間中に“断食合宿”に通い体質も改善した。技術的にはサイドポジションから攻撃するスタイルをより進化させた。 17戦無敗で、この試合がV8戦となる拳四朗には続行中の偉大なる記録へのチャレンジがある。元WBA世界ライトフライ級王者、具志堅用高氏の持つ13度の世界ベルトの連続防衛日本記録への挑戦だ。 「その目標は変わらない。防衛を続けていきたい」 久田との指名試合は、あくまでもカウントダウンへの通過点にしなければならない。 そして、その先には「ベルトを統一したい」との夢がある。 KO率も増して進化中王者の“みそぎ戦”か、これが47戦目となるベテラン挑戦者の”弔い合戦”か。予想は拳四朗が有利だが、収容人数の半分に制限されながらもファンを入れて開催される4.24大阪決戦は、それぞれが抱く魂と魂のぶつかり合う熱き因縁ファイトとなりそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)