“大虎事件”起こしたWBC世界王者の寺地拳四朗が再起へ“禊”のゴミ拾い…「新しい自分に生まれ変わる」
泥酔して器物破損の“事件”を起こしJBC(日本ボクシングコミッション)から3か月のライセンス停止&300万円の制裁金などのペナルティを受けたWBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗(28、BMB)が、連日、地域のゴミ拾いなど“禊(みそぎ)”の社会貢献活動を行っている。ボランティア活動に従事する中で新しい自分を発見したという。新型コロナの感染状況によるが同級1位の久田哲也(36、ハラダ)との8度目の防衛戦を再起の舞台に予定。人は過ちを犯すもの。大事なのは、その後である。失敗を成長に変え、拳四朗は生まれ変わった姿をリングで示すつもりだ。
「罰ゲームじゃないんです」
ゴミ袋と鉄製のトングを持った世界王者の姿が東京都豊島区のJR駒込駅前にあった。寺地拳四朗は父でジムの会長である寺地永氏と共に駅の周辺のゴミを黙々と拾って回る。特に目立つのがタバコの吸い殻。 「駅からある一定の距離ごとに落ちているんですよ。電車で吸うのを我慢して、駅につくなり火をつけてこのあたりで吸い終わるんでしょうね」 約2時間、地域を練り歩き、くまなくゴミを集めた。 昨年7月に前代未聞の事件を起こした。 泥酔した末に自宅近くの他人のマンションの駐車場に侵入して自転車のサドル部分を使って高級車をボコボコにしたとされる。「まったく記憶がないんです」。その後、被害者とは示談となり起訴はされず事件化しなかった。だが、週刊誌に報道され、JBCは、ボクシングの社会的信用を棄損した世界王者としての行動を問題視して12月に3か月ライセンス停止、300万円の制裁金と共に、6か月の間に48時間以上200時間以内の社会貢献活動を行うことを命じた。 拳四朗は支援者の方や行政の協力を得て12月から京都、東京、千葉、横浜などで“禊”のボランティア活動を始めた。仕事は様々だ。 京都では城陽市の久世小学校の登下校の”見守り隊”を手伝い、都内では、地域のゴミ拾い、介護施設でのお手伝い、護国寺や吹上稲荷神社などの清掃や雑草取り、護国寺では、境内のみかん狩りもした。14日には北区で高齢者福祉施設の畑仕事の手伝い、落ち葉集めなどを。1日、2時間から長くて7時間。2月に入ってからは、ほぼ連日だ。 拳四朗の表情は明るい。 「被害者の方には申し訳ないことをして、いろんな方々に迷惑をかけました。でも、罰ゲームじゃないんです。ペナルティですが、いざ、こうやって活動すると、反省のために行うのでなく、この機会をプラスに捉えて行動しています。ゴミを拾って街が綺麗になると、気持ちが良くなるし、誰かに喜んでもらえると、人として気持ちがよくなる。そこに気づかせてくれた。やっていても楽しい。新しいモノを発見し、新しい気持ちになれた。いい人になれた気がする。そこが僕的には大きい」