全日本新人王MVPは衝撃の125秒TKO勝利の奈良井翼…減量失敗棄権、引退に揺れてからの3年越し汚名返上リング
プロボクシングの第67回全日本新人王決定戦が21日、無観客の後楽園ホールで10階級にわたって行われ、スーパーフェザー級では東軍代表の奈良井翼(21、RK蒲田)が西軍代表の福田星河(21、エディタウンゼント)を1回2分5秒TKOで破り新人王と共に大会MVPに選ばれた。また技能賞はスーパーフライ級でTKO勝利し、鹿児島・喜界島出身の初新人王となった久保春平(23、宮田)、敢闘賞は”激闘”を演じて判定勝利したライトフライ級の狩俣綾汰(25、三迫)が受賞した。
リング上で「ママ、父ちゃん、マナ!ありがとう」
わずか125秒。レフェリーはノーカウントでTKOを宣言した。 「うっしゃー!」 無観客の後楽園ホールに奈良井の雄叫びが響く。 「左フックは当たると思っていたけど、狙ってはいない。周りから“倒してMVP取れ”などと言われたが、昔からKOを狙うとおかしくなる。判定でいい。たまたま倒せたらそれでいいと」 その脱力感でパンチがキレた。 まずは左のボディから左フックの上下のコンビネーション。 「ガードが堅かったので下げさせよう」 よろけた福田がロープを背負うと、そこにつめて一度目のダウン。 すぐさま福田は立ち上がったが、奈良井は、容赦なく襲いかかった。再び豪快な左フック。ぐらっとするとダメ押しの右ストレートでキャンバスに沈めた。 リング上での勝利者インタビューでマイクを持った奈良井は「去年は取れなかったんでむちゃくちゃ嬉しいです」と言い、こう叫んだ。 「ママと父ちゃん、あとマナ(愛)。ありがとう、これからも頑張るんで応援お願いします」 いかつい顔してママ? 「一回、高校生のときに(呼び名を)おかんに変えようとしたんですけど、なんかしっくりこない。友達の前では、おかんと言うんですが、勢いでママやった!と言ってしまった」ということだそうだ。ちなみにマナ(愛)は恋人の名前ではなく、高校2年生の妹。大阪人らしく、ユーモアにも長けたなかなかのキャラだ。