因縁対決…WBC世界王者・寺地拳四朗4.24大阪V8戦決定も“泥酔車破損事件”で待たされた挑戦者陣営「怒っています」
久田は2019年10月の京口との最初の世界戦は判定で敗れたが、途中王者をぐらつかせる見せ場は作った。新型コロナの影響を受けて予定されていた再起戦は4月、7月と2度延期になったが、WBCのランキング1位はキープしていた。 「前回の世界戦は興奮状態で、いろんなプレッシャーを感じながら100%自分の力を発揮できたかわからない。前回はリハーサルだったという気持ちで、しっかり準備して、気持ちも整え、100パーセントの力を発揮できるようにするだけ」 さらに久田陣営にはショッキングな出来事があった。ジムの会長である原田実雄氏が12月21日に亡くなった。79歳。食道ガンだった。 会長職を引き継いだ息子の剛志氏は「正直、試合を父に見せてあげたかった。それが延期、延期で僕は怒っています。久田にそれを晴らしてもらう」と、感情を高ぶらせた。 剛志氏は現役時代にWBC世界スーパーバンタム級王者のダニエル・サラゴサ(メキシコ)に挑戦したこともある。 剛志氏の説明によると、父の実雄会長は昨年春に「喉がなんかおかしい」と訴え、精密検査を受けたところ食道ガンが発覚、ステージ3だった。内視鏡の権威にも見てもらったが、大動脈と癒着している部分があり手術は難しかった。抗ガン剤治療の1度目は成功したが、2度目は効かずに久田も「ほとんどお話ができなかった」という。 当初予定されていた12月19日に試合が開催されていたとしても「セコンドにつくのは難しかったでしょう」と剛志氏は言うが、久田の2度目の世界戦を誰よりも心待ちにしていた。 高校時代から自宅が近かったこともありハラダジムの門をくぐり、20年間のボクシング生活のほとんどを亡くなった会長と共に過ごしてきた久田は、こんな話をした。 「会長に世界王者になる瞬間を見てもらえなかったことに悔いが残る。日本チャンピオンになったときも、自分ではテクニックはあると思っていなかった。会長からは誰よりも折れない気持ち、挑戦する勇気を持てと教えられた。それを心に叩き込んで戦うだけです」 因縁の“弔い合戦”。 リングには、遺影か、何か遺品を持って向かうことを考えているという。 「(拳四朗は)試合で力を発揮するチャンピオンだと思う。7度防衛の偉大なチャンピオンに、いなされないようにしっかりと対策をしている。スパーを増やして調整している」