佐賀のものづくり産業が“二酸化炭素ゼロ”でブランド化<シリーズSDGsの実践者たち>【調査情報デジタル】
会員企業の中には、三福海苔以外にも自然の脅威に翻弄された会社がある。佐賀市大和町の名尾手すき和紙は、2021年8月の大雨による土砂災害で被災し、旧工房でも紙すきができなくなり、新工房への移転を余儀なくされた。また、大雨は、2社が会員となっている「うれしの茶」の生産にも影響を与えた。 このような現状から、「SAGA COLLECTIVE」ではブランド化だけでなく、森林保全活動にも取り組んでいる。会員企業の思いを、山口さんは次のように代弁する。 「会員企業の皆さんは、自然のものを使ってものづくりをしていて、産業や会社自体にも長い歴史があります。それに多くの会社が現在の50代や60代の経営者から、30代の後継者に近い将来経営を引き継ぐ予定で、次の世代に繋いでいくことをすごく大事に考えています。自然を大事にして、次に繋いでいく意味で、『循環と継承』を目指しているのが、『SAGA COLLECTIVE』の本質だと感じています。 同じような課題を感じている地場産業は、全国にあるはずです。異業種の伝統産業が集まって、持続可能性を高めることができて、ビジネスの面でも良くなることを、『SAGA COLLECTIVE』がモデルとして示すことができたらいいなと思っています」 「SAGA COLLECTIVE」では、毎年約3~4%の二酸化炭素削減を進める計画で、2030年の二酸化炭素排出量を2013年に比べて46%削減する日本政府の目標水準をクリアできる見通しだ。持続可能性のある高品質なものづくりを続けることで、これから国内外での販路拡大にも取り組んでいく。(「調査情報デジタル」編集部) 【調査情報デジタル】 1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版(TBSメディア総研が発行)で、テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。2024年6月、原則土曜日公開・配信のウィークリーマガジンにリニューアル。
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