佐賀のものづくり産業が“二酸化炭素ゼロ”でブランド化<シリーズSDGsの実践者たち>【調査情報デジタル】
工場などの事業所では、30分間に使われた電力の平均値であるデマンド値によって契約電力が決まる。デマンド値が最も高かった30分間の使用量が、最大需要電力として契約電力に設定されて、基本料金を左右する。このため、最大デマンド値を下げることが、電気代を抑えるとともに、電気使用による二酸化炭素排出量を抑えることにつながる。 レグナテックでは節電にあたって、700本もの電灯をLEDに交換。大型の加工機械は稼働時間を短くすることや、複数の機械を同時に使わないなどの管理を徹底して、業務の効率化に取り組んでいる。その上でデマンド監視装置を導入し、一定の電力使用量を超えるとアラームが鳴るように設定して、最大デマンド値を抑えている。今年9月には再生可能エネルギーを導入しており、二酸化炭素排出量を大幅に削減する予定だ。 環境への取り組みは他にもある。加工によって出た端材はすべてリサイクルするほか、細かい木材のゴミは農家に無償で渡して、農家が牛舎に敷き詰める素材などに使う。また、おがくずを使ってカブトムシを育てて、地元の子どもたちに配るなど、森林資源を無駄なく活用している。輸入木材よりも輸送などで二酸化炭素排出量が抑えられる、地元の佐賀県産材を使ったオフィス家具の開発にも力を入れている。 ■海外進出の取り組みから“二酸化炭素ゼロ”へ レグナテックの樺島雄大社長は「SAGA COLLECTIVE」の発起人で、現在の協同組合の代表も務める。2017年の発足当初は、県内の伝統産業が集まって海外進出を目指すことが目的だったと話す。 「恥ずかしい話ですが、佐賀県は『都道府県魅力度ランキング』などでよく最下位になっています。でも、佐賀で生まれ育った私としては、伝統産業もいろいろあるし、何でそんなに魅力がないのだろうと疑問を持つと同時に、不満に思っていました。そこで、イメージを変えるために新たな流れを作りたいと思い、異業種が集まってブランド化したのが『SAGA COLLECTIVE』です。国内だけでなく海外にもブランドを広めようと、シンガポールに売り込みに行ったのが始まりでした」