「今日は埼玉県民の日です」東京ディズニーの朝礼でスタッフが恐怖に震えるワケ
東京ディズニーリゾートに57歳で入社し、65歳で退職するまで、“夢の国”で見た「現場からの実態報告」をお伝えしよう。働くキャストも人間だから、仲間と会社の愚痴も言い合うし、ミッションを忘れるほどゲストに対して怒りを覚えることもある。 ※本稿は笠原一郎『ディズニーキャストざわざわ日記』(三五館シンシャ、2022年2月1日発行)の一部を抜粋・編集したものです 【この記事の画像を見る】 ● 某月某日 恐怖!埼玉県民の日 忘れてはならない記念日 混雑時、もうひとつたいへんなのが、ゴミの対応である。入園者数とゴミの量はほぼ比例している。5万人を超えると、トラッシュカンがあっという間にいっぱいになる。たまりやすい場所だと30分程度で満杯になることもある。 トラッシュカンからゴミをあふれさせることはあってはならないので、「ダンプ」というゴミ収集担当がてんてこ舞いとなる。パンクしそうなトラッシュカンがあれば、それに気づいたスイーパー担当から連絡があり、「ダンプ」担当が現場に急行する。 「『グランマ・サラのキッチン』出口横のトラッシュカン、もういっぱいであふれ出ています!至急対応をお願いします」スイーパー担当が叫ぶ。この連絡はグループ通話で全員に聞かれるので、あたかもダンプ担当がさぼっているようで肩身が狭い。 スイーパー担当も担当エリアを回りながらトラッシュカンの中を確認する。ゴミがたまっていればコンパクティングボードの出番である。ゴミの中身は紙コップやポップコーンの紙容器などが多いので、これを使って3分の2程度に圧縮する。ダンプがやってくるまで、トラッシュカンからゴミが あふれ出すのを防ぐのだ。 なかにはマナーの良くないゲストもいて、飲み終わった紙コップやスモークターキーレッグの骨をその場に放置する。トラッシュカンのすぐそばに投げ捨てられていることもある。こうしたゴミも早めに処理しなくてはならない。 「スプラッシュ・マウンテン」「ビッグサンダー・マウンテン」「ホーンテッドマンション」などの人気アトラクションでは、トラッシュカンがQライン(ゲストが並ぶ列)にある。 ゲストが並んでいるところを通るため、「失礼します!」「通らせていただきます!」と声をかけつつの作業となる。ダンプ担当のときには二輪カートをゲストにぶつけないよう細心の注意を払いつつ、大声で注意を喚起する。 ときおりデパートなどで黙ったままお客のそばを大きな荷物を押しながら通っていく店員を見かける。「こういうときには、ちゃんとゲストに声がけしないと」と注意したくなるのは職業病かもしれない。