「家庭内」「高齢者」“第2波”と異なるキーワード 都のコロナ感染急増
●重症化リスク高い高齢者の比率が増加
いわゆる“第3波”とされる現在の感染拡大では、“第2波”とされる夏の流行時と違い、中高年、特に重症化リスクが高い高齢者の感染比率が増えている。 例えば新規陽性者数に占める65歳以上の高齢者は、7月28日から8月3日の週では5.5%だったが、今週(11月11日~16日)は13.2%を占めている。実数でみると、前週の197人に対して今週は274人。国立国際医療研究センター病院の大曲貴夫(のりお)国際感染症センター長は「高齢者は重症化リスクが高いが、そこでの新規陽性者が大幅に増えている。高齢者への感染の機会をあらゆる場面で減らすことが必要だ」と注意を促す。 今回の感染再拡大では、会食や接待を伴う飲食店などが主要な感染経路だった夏の流行と違い、家庭内感染の割合が大幅に増えていることも特徴だ。 今週の数値でも濃厚接触者における感染経路は、前週と同じく「同居する人」からが42.1%と最多で、次いで特別養護老人ホームや介護老人保健施設、病院、学校などの「施設」が15.9%、「職場」が15.7%と続き、「会食」は8.2%、「接待を伴う飲食店」は2.5%となっている。 大曲氏は「職場、施設、会食、接待を伴う飲食店などさまざまな場面で感染例が発生している」と感染するシチュエーションの多様化を警告する。 家庭内感染については「家庭の外で感染した人が家庭内に持ち込んで、同居の家族に感染させた事例がみられる」(大曲氏)。会食の場や職場などから家庭内にウイルスが持ち込まれているとみられることから、大曲氏は手洗いやマスクの着用、「3密」の回避、テーブルやドアノブなどの消毒など「今一度、基本的な感染対策の徹底が必要」だと呼びかけた。
●「急速な感染拡大の局面」迎える
モニタリング会議は現在の都内の状況を「急速な感染拡大の局面を迎えた」と評価した。その判断の背景にあるのは、新規の陽性者数と接触歴不明者数の大幅な増加だ。 今週の新規陽性者数(7日間平均)は、前週の244.3人から325.7人へと大幅に増加。前々週の165.4人から見ると2週間で約2倍に急増している。 新規陽性者における接触歴不明者についても、前週の137.4人から今週は182.7人に増加。増加比は151.5%から133.0%と高い数値のまま推移している。 大曲氏は、新規陽性者について「週当たり2000人を超える高い水準。増加比も10月末から常に100%を超えている」、接触歴不明者の増加比についても「10月末から100%を超えている」と指摘し、いずれも「今後の深刻な状況を厳重に警戒する必要がある」と危惧した。 無症状患者の増加も悩ましい問題だ。今週の新規陽性者2080人のうち、無症状者は大幅に増加し487人に。割合も23.4%にアップした。 今回の感染拡大では「経済活動が活発化して、人の動きが活発になっている。無症状、症状の乏しい、もしかしたらウイルスを持っている感染者の行動範囲も広がっている」と大曲氏は指摘し、無症状者も含めた集中的なPCR検査の体制強化が求められるとした。