タンパク質の摂りすぎはよくない? プリン体にも要注意? 腎臓を労わる食事術(専門家が監修)
タンパク質を適切にコントロール
タンパク質は言うまでもなく大事な栄養素の一つだが、腎臓に関しては専門家の間でも賛否両論。 タンパク質は最終的には腎臓で代謝される。このため従来、過剰なタンパク質の摂取は腎臓の負担となると考えられてきた。 それに対して近年では、タンパク質の摂取を増やすだけでは、腎臓にネガティブな影響が及ぶことはないという意見が出てきた。カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル、食物繊維、タンパク質の摂取を増やすDASH食でも、むしろタンパク質の摂取を増やそうと提案している。 どちらを信じればいいのか。健常者のタンパク質の摂取推奨量は、体重1kg当たり1日0.9g程度。現在の標準的な診療基準では、CKDの初期(ステージG1~G2)になると、それを超える摂取を戒める。そこからCKDのステージが進むと、腎臓専門医と管理栄養士による継続的な指導のもとで、タンパク制限が求められる。 「ただし腎機能の低下が見受けられない健常者が、腎臓のためにタンパク質を制限する必要はありません。筋トレによる筋肥大を狙う人でも、体重1kg当たり2.5g以上のタンパク質摂取は効果がないというエビデンスもありますから、健常者もそれ以上の無駄なタンパク質摂取は控えましょう」(総合内科専門医の田畑尚吾先生)
プリン体に気をつける
イワシやアジの干物、鶏レバー焼きあたりを肴に、地ビールや日本酒を嗜む。左党なら想像するだけでも頰が緩みそうだが、そんな食生活を享受していると、知らない間に腎臓が悲鳴を上げているかもしれない。 鍵を握っているのは、プリン体という物質。プリン体は食べ物の旨味の元であり、冒頭で挙げた美味しい肉類や魚類に幅広く含まれる。 摂取したプリン体は、体内で尿酸に変わり、腎臓から排泄される。尿酸値が高い=痛風と思いがちだが、それ以外にも余分な尿酸が溜まった高尿酸血症になると、やがて腎臓まで被害が広がってしまう。 「高尿酸血症を放置していると“痛風腎”と呼ばれる状態になり、腎機能が悪くなります」(田畑先生) 高尿酸血症とは血液中の尿酸値が7.0㎎/dLを超えるもの。腎機能が落ちると、尿酸の排泄が滞るようになり、高尿酸血症が進み、痛風腎が悪化するという悪循環に陥る。プリン体の多い食品を控えよう。 ちなみに、ビール以外のアルコール飲料にプリン体はほとんど含まれていないが、アルコールはプリン体からの尿酸合成を促進して、腎臓からの尿酸の排泄を抑えるため、プリン体の有無にかかわらず、節酒が重要なのだ。 お酒を適量嗜むなら、肴は野菜の煮物や海藻の酢の物などがお薦め。野菜や海藻にはカリウムが多く含まれており、カリウムは尿を若干アルカリ性へ傾ける。アルカリ性になると尿酸が尿へ溶け出しやすくなり、尿酸の排泄を助けてくれるのだ。