【ABC特集】「“外の世界”を見せてあげたい」重度知的障害の息子の作業所探しに苦闘 介護離職の54歳 続・シングルファーザーのSOS
しかし、自宅から往復2時間かかります。朝の送りと午後のお迎え。あわせて1日4時間のドライブは、利幸さんにとってあまりにも負担です。 (藤本副施設長)「お住まいの場所からすると、うちに通うのは、なかなかね・・・。私たちのつながりの中でも、北摂や吹田に同じような作業所もあったりするので・・・」 実は、家の近くでは、凌也さんに合う作業所が、見つかりません。 (藤本副施設長)「住み慣れた地域(の支援)で暮らせる方がいいと思いますけど、すべての人に、(支援)が整っているわけじゃないというか」「事業所探しが、ご家族さんやご本人さん任せになっている。行政の力がなかなか及ばない」 重い知的障害のある人と家族が、施設探しに苦労している現実。
障害のある人や家族、福祉の職員らも支える、全国組織『きょうされん』。大阪支部の事務局長は「作業所の数自体は増えている」と話します。 (きょうされん 大阪支部 雨田信幸・事務局長)「(障害福祉事業は)NPO法人や株式会社、多様な方が参入できるので、角を曲がったら(障害者の)事業所がある、そんな地域もあります」「(事業所間で)利用者の取り合いみたいな状況も生まれてきています」
大阪府内で、障害のある人が、日中、利用できる事業所の数は増え続けています。しかし、支援の質については、大きな差があり、「より手がかからない人を受け入れたい」、そんな事業所もあるといいます。 (雨田事務局長)「事業所によって、重度の障害者は(利用を)断るみたいな。走り回ったり、他人に突っかかってしまうという方は“(施設の)安全性”を強調して、お断りするというのがあると思います」 さらに「重度の方を受け入れるための職員の体制や、スキル(技能)が備わっていない」という理由もあるそうです。
実は凌也さんも、自宅の近くの作業所から、利用を断られた経験があります。数は増えているのに、重い障害のある人の受け入れ先は十分とは言えません。 (雨田事務局長)「(国・自治体は)1人1人に合った支援を提供できるように、もっと関与すべきことがあるだろうと」「(福祉事業所が)その人にとって必要なことを、手立てをしていくというのが本当に大事」