【ABC特集】障害者の居場所”はどこへ 総合福祉センターが各地で相次ぎ統合・廃止 奈良市にも再編案
全国各地にある「総合福祉センター」。多くが昭和に建てられ、障害者や高齢者の居場所になっていましたが、老朽化や利用者の減少で各地で廃止や再編が相次いでいます。多くの場合、近くの別の建物に機能が分散され、住民からの目立った反対も少ない場合が多いといいます。しかし同じく総合福祉センターの再編を検討する奈良市では、障害者団体から反発が起きています。
奈良市の総合福祉センターは、1984年に建設されました。およそ2300平方メートルあまりの敷地に3階建てで、中には、障害のある人に向けたリハビリ施設や、点字室、そして音楽室など様々な部屋があります。
(総合福祉センターの職員 川井哲也さん)「3階に分かれてますので、中央の長いスロープを車いすであがる運動に使う人もいます」「(Q.どんな人が通っている?)「点字できるところやリハビリが出来るところがあるので、皆さん目的をもって通っていますね」
10年以上前から利用しているという聴覚障害のある人たちのサロンでは、手話を学ぶボランティアと月に1回集まり、ゲームや食事をしながら、手話を勉強することにしています。 (奈良市聴覚障害者協会 大西善子さん)「家にこもっているのではなくて 楽しくみんなで交流しようとしています 聴覚障害者だけではなくて 聞こえる人とか手話サークルのメンバーも来ている」 そんな地域の障害者福祉の拠点となってきた奈良市総合福祉センターに再編の話が持ち上がったのは10月のことだったといいます。
奈良市心身障害者・児福祉協会連合会の安井清悟会長が市の職員から、”総合福祉センターを来年度で閉鎖し、市内にある4つの「老人福祉センター」に機能を分散する案”を伝えてきたといいます。身体障害のある長男がいて、障害者施設も運営する安井さんにとって、ショックな出来事だったといいます。
(安井清悟会長)「(Q.閉鎖の方針を聞いてどう感じた?)私の子どもは施設にいますが、居場所が決まってない方たちが世の中にはたくさんいて、在宅のサービスを受けられないそのような方達がどこに相談するのか。契約をする福祉の時代に(センターが)相談の窓口にならないといけないし、障害者福祉の困った方達を救える駆け込み寺のような場所がこの場所だと思います」「”福祉都市”奈良市が崩壊していくと思いました」 障害者に必要な機能は高齢者施設とは違うといい、センターが老人福祉センターに再編されれば混乱が起きると心配しています。